――『羅小黒戦記』が公開された19年は、他にもフランスとデンマークで作られた『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』や、台湾で作られた『幸福路のチー』など、海外のアニメ映画が日本で大いに注目を集めた年だったと思うのですが。
19年は本当に、そういった映画がまとまって公開されたので、海外アニメが好きな人たちにとっては夢のような年だったと思います。その中に『羅小黒戦記』があったのは、象徴的だったのかなと。
――なかにはアフガニスタンの問題を扱ったアイルランドのアニメ映画『ブレッドウィナー(生きのびるために)』のように、すでにNetflixで配信されている作品が、日本の映画館で改めて劇場公開される例もありました。
日本の配給会社さんはディズニーやドリームワークスのアニメ映画は公開しても、それ以外の国の映画にはなかなか手をつけませんね。仮に公開しても、知名度の低い作品には観客も足を運ばないだろうと考えて、あまり手を出していなかったのかなと思います。配給する側にも、いろんな思いや事情があるのだろうと思います。
でも実際に見てみると、どれも素晴らしい作品なんですよ。もちろん、つまらない海外の作品もありますから、その中で厳選されたものが相次いで公開されたのが、19年だったんだろうなと。そうした作品が海外アニメという大きなくくりで、「これが面白かったから、こっちも見てみよう」という、面白い循環が生まれた瞬間だったんだと思います。
以上が入江氏へのインタビュー内容だ。今回のインタビューでは、『羅小黒戦記』の日本公開に至った経緯と、ヒットの背景を中心に紹介した。次回はアニメ業界における日本と中国との関係や、中国映画の公開事情といったビジネス面について、さらに深く掘り下げていく。
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