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» 2020年06月02日 08時00分 公開

ジャーナリスト数土直志 激動のアニメビジネスを斬る:コロナ禍で「アニメ冬の時代」は到来するか――混沌の2020年代、3シナリオで占う (1/4)

アニメ業界にも打撃を与えているコロナ禍。2020年代は果たして「アニメ冬の時代」となるのか。アニメ・映像報道の第一人者が3シナリオで分析。

[数土直志,ITmedia]

 新型コロナ感染症拡大が、国内の多くの産業に影響を与えている。近年、日本のエンターテインメント拡大をけん引すると注目を浴びてきたアニメ産業もその一つだ。テレビアニメの新作放送中断や、劇場アニメの公開延期、さらに関連イベントやアニソンライブ・コンサートの中止など幅広い分野で影響が広がる。

 5月25日の緊急事態宣言解除で、アニメ制作や劇場興行は本格的に再開するが、関連イベントの開催再開などは見通せていない。5月28日には今夏予定していた国内最大規模8万人が参加するアニメ音楽フェスティバル「Animelo Summer Live」が、今年度の開催は無いと発表した。

photo 延期を発表した「Animelo Summer Live(アニサマ)2020」。発表によると現状では21年の開催を見込む(公式サイトより引用)

コロナ禍で20年のアニメ業界は大幅縮小

 日本動画協会のまとめる「アニメ産業レポート2019」によれば、日本のアニメ産業は09年以来、過去10年間右肩上がりに成長してきた。関連市場は10年間で1.7倍、2兆円を超えた。しかし20年は市場の大幅縮小がほぼ確実だろう。

 予想外の困難と共にスタートした20年代の国内アニメ産業は、新型コロナ以後、どこに向かうのだろう。引き続きエンタメビジネスをけん引できるのだろうか。業界をとりまく現在の状況を踏まえ、いくつかのシナリオを描き、将来を見通してみたい。

未来予測は多くの場合難しい。いくつかの要因のちょっとした違いが、異なった展開を生み出すからだ。大ヒット作の有無が業界自体さえ左右するエンタメであればなおさらである。そこで今回は「楽観的シナリオ」「悲観的シナリオ」「中立シナリオ」の3つから、アニメ業界の今後を考えてみたい。

  • ケースA 楽観シナリオ

 日本アニメの人気が国内外で定着。周辺産業も順調に拡大し、アニメ市場の成長が続く。

  • ケースB 悲観シナリオ

 映像ソフト、テレビ、商品化といった従来市場が縮小。ライブエンターテインメントの成長は阻害され、競争が激化するグローバル市場で存在感が低下する。

  • ケースC 中立シナリオ

 現在の市場規模を維持。収益手段が多角化、市場プレイヤーが入れ替わる。

ケースA「回復する明るい未来」

 ケースAでは、明るい未来を描いている。昨今の新型コロナウイルスの影響も乗り越え、アニメ業界が再び成長軌道に乗るというものだ。緊急事態宣言解除後、テレビアニメ『ポケットモンスター』の新作エピソード放送再開が早速発表されるなど、アニメ制作は体制の立て直しに動く。

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