元グラビアアイドルが語る、SNSの有名税と誹謗中傷 テラスハウス問題の本質とは専門家のイロメガネ(3/6 ページ)

» 2020年06月16日 07時02分 公開
[古崎瞳ITmedia]

「嫌ならやめればいい」では済まない芸能人とネットの関係

 誹謗中傷の話題で出てくるものに、「嫌ならSNSを辞めればいい」というものがある。真正面から答えるなら「簡単に言わないで欲しい」の一言だ。芸能活動でSNSは命といっても過言ではないからだ。

 SNSが命のように大切な理由は2つある。1つ目は、芸能人にとってSNSがビジネスに直結する営業活動だということだ。

 私自身で言えば、13年間の芸能活動の期間中、ほぼ毎日SNSを更新した。ブログ、Twitter、Instagramだけでなく、GREEやGoogle+、YouTubeとありとあらゆるSNSをやってきた。売れたいという一心で。

 ファンを増やすためにバズりそうな写真を載せ、流行りのタグを付け、多くの人に見てもらえるよう日々試行錯誤した。

 タレントにとってフォロワー数は、通信簿やレベルのように自分の評価そのものだといえる。例えばギャラが同じ2人のタレントがいた場合、フォロワー数はキャスティングする側の判断材料として極めて有効となる。フォロワー数はファンの多さを目に見える形で表し、それが売り上げや視聴率に直結するからだ。

 実際、私自身もフォロワー数の恩恵を受けたことがある。ある広告の仕事で最終選考の2人に残り、結果として私が選ばれた。SNSのフォロワー数は私の方が多かった。理由は他にもあるとは思うが、撮影終了後にそんな話がチラッと出たとき、私をフォローしてくれている全ての人に感謝した。

 他にもTwitterで好きなゲームのことを幾度となくつぶやいていたところ、そのゲームのイベントに呼んで頂いたこともある。日常のつぶやきも何が仕事につながるか分からない。それくらい芸能界は本人もキャスティングする側もSNSに敏感だ。

 SNSでさまざまな仕事を得ることができる。一方でその仕事をきっかけに、一部の人がSNSで誹謗中傷をぶつけてくる。こんな仕事のサイクルの中で、SNSやネットだけを取り除くことはできない。

 SNSを使っている人は、その多くがテレビや雑誌を見るのと同じように、趣味や娯楽として使っているのだろう。ただ、テレビや雑誌を仕事の場にしている人がいるように、芸能人にとってはSNSも仕事の場だ。止めるという選択肢はあり得ない。

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