木村さんにも葛藤はあったと聞く。番組出演は自身のためだけではなく、所属するプロレス団体のためを思って出演した側面も大きいのではないか。加えて、木村さんはプロレス団体では悪役(ヒール)として活動していた。番組内でもそういった役割を期待されていたことは想像に難くない。
衣装が台無しになったことも、それに腹を立てたことも、多分事実なのだろう。ただ、それをどう見せるか、どう演出するか出演者は決められない。せめて木村さんをフォローするような場面を作ってあげられなかったのだろうか。
もちろん、番組制作をする側のスタッフもジレンマを抱えていたとは思う。より記憶に残るように演出が過激になり、炎上狙いのような内容になってしまったのではないか。ただ、それでも、結局一番被害を受けるのは矢面に立つ出演者だ。
木村さんの友人でもない私には、心の中で考えていたこと、本当のところは分からない。新型コロナウイルスでプロレスラーとして試合ができなかったことも影響しているのでは? という見方もあり、さまざまな原因が積み重なってのことだと思う。
ただ、SNSでの誹謗中傷が芸能活動の足かせになるような状況があっていいはずはない。芸能活動と誹謗中傷は切っても切れない関係と書いた通りだが、そんな状況がまともなはずはない。
テラスハウスは結果的に放送が打ち切りとなり、SNS事業者でつくる団体「ソーシャルメディア利用環境整備機構」は、嫌がらせや名誉棄損などの投稿を禁止して、違反者には利用停止などの措置を取ると緊急声明を出した。
過去に誹謗中傷の書き込みをした人が今になって心配になり、弁護士へ相談が殺到しているとも報じられている。SNSを使用している人も、これだけ大きな騒動になったことから、こんなこと書いて大丈夫? と慎重になっている人は多いだろう。
コンテンツ配信サービスのnoteでは、コメント欄に書き込む際に「コメントをする前に……ちょっと深呼吸」と表示されて、内容に問題が無いか利用者に注意を促す機能を導入した。解決までの道のりは長いと思うが、SNSは多くの人にとって大切な場であることはまちがいない。少しでも早く、環境が改善されることを願うばかりだ。
そして、最後になりましたが、木村花さんのご冥福をお祈りいたします。
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