元グラビアアイドルが語る、SNSの有名税と誹謗中傷 テラスハウス問題の本質とは専門家のイロメガネ(5/6 ページ)

» 2020年06月16日 07時02分 公開
[古崎瞳ITmedia]

「ゴミ屋敷の人」と呼ばれて

 私自身のゴミ屋敷アイドルとしての出演もそうだった。「汚い」という嫌悪の感情にアプローチした結果、人の記憶に残った。私が初めて街中で女性に声をかけられたのは「ゴミ屋敷の人ですよね?」という言葉だった。

 たくさんの中傷と一緒に、今まで自分を知らない層、グラビアに興味がない人たちへの知名度を手に入れることができた。私に中傷を送ってきたのも、番組出演までは私を知らなかった人たちだ。

 有名になるためには仕方のないことなんだ……。

 そう思うしかなかった。現にそれまで1日1ケタのリプしか来たことがなかった当時の私は、番組出演後、批判や誹謗中傷であれ100件以上のリプに少なからず興奮したことも覚えている。今までずっと手に入れたかった有名人に一歩を踏み出したうれしさもあった。

ナイナイアンサーでご一緒したキンタロー。さん

 「ゴミ屋敷アイドル」なんて馬鹿らしく見えるかもしれないが、私にとっては、数年前からSNSやイベントで発信し、新聞や雑誌に取り上げられて少しずつ話題になり、やっとのゴールデンタイムのテレビ番組への出演権だった。

 とはいえ、葛藤が無かったかといえばウソになる。「ゴミ屋敷アイドル」は世間に好意的に見てはもらえないだろう。有名になることは多くの人の目に触れること。フツーじゃ記憶に残らない。売れない。その結果、誹謗中傷を受けてしまう。なんというジレンマだろう。

 私自身はリアリティショーに出演したことはないが、芸能活動自体が、そして芸能人という働き方や生き方自体が、リアリティショーといっても過言ではない。特にアイドルは分かりやすい。握手会やライブ活動、SNSの書き込み、ショールームやLINE LIVEなどのライブ配信など、生活の全てが芸能活動に直結する。しかも熱心に活動すればするほど、配信やSNSなどに時間が取られて、日常生活=芸能活動となり、リアリティショーと変わらなくなってしまう。

 そんな状況で誹謗中傷を受ければ、あくまで仕事と割りきることはできず、自分自身に対する否定と感じて精神的なダメージを強く受けてもおかしくはない。

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