攻める総務

ウィズコロナ時代に考えるべき「健康経営」の課題とは?ウィズコロナ時代の健康経営(1/3 ページ)

» 2020年06月19日 12時00分 公開
[渡辺敏成ITmedia]

 新型コロナウイルスは、現在も生活やビジネスに大きな影響を及ぼしています。緊急事態宣言こそ解除されましたが、第2波、第3波に備えた新しい生活様式が推奨され、人々の働き方にも同様の変化が求められています。在宅勤務(テレワーク)はすっかり浸透し、オンライン会議も当たり前になりました。

 それでは新型コロナと共存する「ウィズコロナ時代」において、経営者は従業員の健康管理をどのように考え、対応していけばよいのでしょうか? この連載では「ウィズコロナ時代の健康経営」と題して、ビフォーコロナと比較しながら、これからの健康経営に求められるものを明らかにしていきます。また、ウィズコロナ時代に必須となる「遠隔での健康管理」に関しても、先進企業の事例を参考にいま学ぶべきポイントを探っていきます。

ウィズコロナで健康経営はどう変わる?(出所:ゲッティイメージズ)

そもそも健康経営とは?

 まず、新型コロナウイルスが社会に大きな影響を与える前の“ビフォーコロナ”において、健康経営がどのように考えられていたかを見ていきましょう。

 そもそも健康経営とは「従業員ヘの健康増進の取り組みが、将来的に収益性などを高める投資である」という考えのもと、健康管理を戦略的に実践する取り組みです。利益を創出するための経営管理と、生産性や創造性向上の源である従業員の心身の健康との両立を目指しているところがポイントです。

 経済産業省は、健康経営に前向きに取り組む企業を「健康経営優良法人」として認定・表彰しており、2014年にスタートしたこの制度も6年目を迎えました。初回は493社の応募でしたが、19年は2328社と4.7倍の伸びを見せ、多くの企業が注目していることがうかがえます。

健康経営に関するメディア露出数(出典:経済産業省 第23回健康投資WG事務局説明資料2)

 健康経営優良法人に認定されるための基準は、企業の健康経営への取り組み状況をふまえて、年々レベルアップしています。まずビフォーコロナの段階で、「健康経営2021では何が求められているのか?」を確認したいと思います。

「健康経営2021」で求められていたもの

 20年3月に表彰された健康経営優良法人認定にあたって重視された点は、健康経営のPDCAを回しているかどうか、でした。経産省の表現でいえば、「健康施策に広く取り組むだけでなく、PDCAを回し、自社の取組を評価・分析・改善」(経済産業省 第23回健康投資WG事務局説明資料1)していることです。

 この傾向はさらに強まり、認定要件のうちの「健康増進・過重労働防止に向けた具体的目標(計画)の設定」が、19年までの「選択要件」から、20年は「必須要件」となりました。これが必須要件になった理由は、「目標設定は、PDCAのPにあたる基礎的な要件」だからだと説明されています。健康経営が、健康施策として何に取り組んだかという活動内容に加え、どのような成果を得たのかという結果を重視する方向へ移行していることが分かります。

健康経営銘柄2021選定基準及び健康経営優良法人2021(大規模法人部門)認定基準(案)/出典:経済産業省 第23回健康投資WG事務局説明資料1)

 よく陥りがちな健康経営として、なぜ健康経営を行うのかという理念がなく、重点対象者も設定されていない、取り組み自体が目的化した健康経営があります。このような健康経営では参加率も低く、改善結果は得られません。

 今回の認定要件の改定は、上記のような健康経営を抑制するためにあります。ウィズコロナに関わらず、まずは基本通りの健康経営、自社の健康課題を正しく捉えて適切な目標設定を行う健康経営が求められているのです。

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