小西美術工藝社社長で、日本の観光・経済政策にまつわる提言を数多くおこなっているデービッド・アトキンソン氏の一連の記事の影響により、「日本人の給料安すぎ問題」が話題になった。
当該記事の概要をまとめると、
というのがアトキンソン氏の考え方だ。
筆者も氏の意見には大いに賛成である。特に、大学で学んだ新古典派の経済学(需要側と供給側は効用最大化を目指して双方合理的に行動し、結果として需供均衡が実現する、という完全競争モデル)は現実の社会(立場の弱い労働者にとって労働市場は完全競争ではない)に当てはまらないと考えていたところに、この「モノプソニー」という考え方はその欠けた部分を補完するものであったからだ。
一方で筆者はまた、日本において長年給料が上がらない原因は他にも多くの要素が複雑に絡み合っているものと考えている。筆者自身、給料が低く抑えられ、従業員が使いつぶされるようなブラック企業に勤め、かつ長きにわたって「立場の弱い労働者」側から労働市場との関わりを持ってきたため、個人的に思い当たる要素が複数あるのだ。では、アトキンソン氏が挙げたもの以外にどんな要因があるのだろうか。
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