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» 2020年07月29日 07時01分 公開

星暁雄「21世紀のイノベーションのジレンマ」:革命かパンドラの箱か、新AIツールGPT-3の波紋 (1/5)

GPT-3は、英単語や短い文章をインプットすると、関連する「それらしい」テキストを自動生成するツールだ。文章だけでなく、プログラムコードや楽譜を自動的に生成するデモンストレーションも登場した。

[星暁雄,ITmedia]

 米シリコンバレーのテクノロジー好きな人々の間で、ひとつの新技術が大きな反響を呼び起こしている。米サンフランシスコに本拠を置くAI(人工知能)開発の非営利組織OpenAIが開発した最新AIツール「GPT-3」だ。

 OpenAIが2020年6月にGPT-3をインターネット経由で利用できるインタフェース(API)を限定公開したところ、試した人々は想像を越える応用範囲の広さに驚いた。そこからソーシャルメディア経由で話題が広がり、より大勢の人々に刺激を与える形となった。

GPT-3を開発したOpenAIは「安全な人工知能への道を発見し、実行する」ことをミッションに掲げている(同社Webページ)

 GPT-3は、英単語や短い文章をインプットすると、関連する「それらしい」テキストを自動生成するツールだ。文章だけでなく、プログラムコードや楽譜を自動的に生成するデモンストレーションも登場した。

 プログラムを自動生成できることに驚いたテクノロジー好きな起業家らは「パラダイムシフトだ」「背筋が寒くなった」と口々に語る。テクノロジー好きな人々が、最新技術にこのような興奮を示したことは要注目だ。そこから何かが生まれてくる可能性があるからだ。その一方で、GPT-3を開発したOpenAIの側は「GPT-3には限界があり、深刻な弱点もある」といたって冷静である。

 GPT-3が、AI研究の最先端の1つであることは間違いない。GPT-3の最大の特徴は「規模が巨大である」ということであり、巨大な規模の「言語モデル」に何ができるかを教えてくれる。

 一方で、GPT-3には大きな限界がある。GPT-3は言葉を理解はしておらず、この現実世界に関する知識体系(常識)を備えているわけでもない。GPT-3には危険性もある。ほとんどの人には本物の新聞記事に見えるフェイクニュースを自動生成でき、差別発言もする。質問に対して深刻な間違いを返す場合もある。

シリコンバレーは熱狂

 GPT-3がどのような反響を呼んだのかを見ていこう。

 話題になったデモンストレーションの1つは、起業家のSharif Shameem氏がGPT-3と組みあわせて作成した「レイアウトジェネレータ」だ。「スイカのように見えるボタン」「世界で最も豊かな国々のリスト」といった短い英文を入力することでコードを自動生成して、Webページのレイアウトを作成してしまう。

 自動生成されたコードの文法の間違いを手直しできるところがポイントだ。GPT-3を使えばプログラムコードを自動生成できる可能性に気がついたShameem氏は衝撃を受け、「背筋に寒気を感じた」とWired誌の取材に答えている。

 これ以外にも、GPT-3を応用してプログラムコードを自動生成する取り組みが次々と登場している。

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