では今後、各社がジョブ型への移行を進めた場合、雇用はどのように変化するだろうか。ジョブ型に切り替わったということは、年功序列や終身雇用が保障されないことを意味している。年齢ではなく仕事の内容に応じて給料が支払われるので、給料が上がる人と下がる人が出てくる。
だが、この制度を導入する背景には総人件費の抑制という目的があるので、現実には給料が上がる人の比率は低く抑えられるだろう。ジョブ型にシフトといっても、いきなり年齢が考慮されなくなる可能性は低いが、管理職として昇進を重ねる人以外は、基本的に年次による自動的な昇給はなくなる方向性と考えた方がよい。
筆者が日本企業全体の年齢別社員数や給与額などのデータから試算した結果によると、企業が70歳まで社員を雇用する場合、40歳以降の昇給をストップしないと総人件費の増大を回避できない。ごく簡単に言ってしまうと、今の雇用制度における40歳前後の給料がピークとなり、幹部として昇進する人以外は、それ以上は年収は増えないと考えればよい。
専門性を持つ一部の社員はそれを高く評価され、一生、現場で活躍するにしても高い年収を確保できるかもしれないが、ごく一般的な社員は、40歳の年収を基準に人生設計するのが望ましい。
40歳での年収がピークとなる場合、日々の生活における支出金額や貯蓄の額についても見直しが必要となる。またマンションなど住宅の購入を検討している場合には、返済計画をよりシビアにしなければ破綻リスクを高めるだろう。結果的に購入できる物件の金額は大幅に下げざるを得ないと考えられる。
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