有料コミュニティの運営により、事業への手応えをつかんだあつたさんが次に目指したのが、独自のWebサービスの開発だった。
「当初は、先輩夫婦のOB訪問を事業化しようと思っていました。例えば、カップルで『結婚式を挙げるかどうか』で意見が別れた場合に、結婚式をした、あるいは結婚式をしていない先輩夫婦に会って彼らの話を聞く、というものです。でも、ヒアリングを重ねるうちに、それでは本質的な解決にならないと思うようになって。
他の夫婦の話を聞いて相手を説得するよりも、お互いが心からの思いを伝えて歩み寄り、納得できる解決策を見つけることが一番大事だと気づきました。実は私たち夫婦は自社サービスを使う必要がないぐらい仲良しなんですが、その理由はお互いフラットに議論することが好きだからだと思うんです」(あつたさん)
「お互いにとことん話し合うことが重要」、そう気づいてからは、ひたすらTwitterで夫婦間の課題をリサーチ。結果的に、5つのキーワードが夫婦間の関係悪化のトリガーになっていることが判明した。「お金」「子供」「家事」「セックス」「義実家との付き合い」だ。
とはいえ、あつたさんにはパートナーシップのプロフェッショナルとしてのバックグラウンドはない。パートナーシップを扱う専門家といえば恋愛カウンセラーやアドバイザーが有名で、心理学を学んだり、資格を取得したりして、プロとして独立する人もいる。
プロとしての専門知識を持たないあつたさんが選んだ開発手法は、Twitterをフル活用し、フォロワーの意見に耳を傾けながら、彼らと一緒に作り上げることだった。
「私はこの分野の素人ですが、夫とずっと仲良しでいたいというゆるぎない信念があります。また、実際の開発ではアイディア段階、イメージ段階からフォロワーさんに意見を求め、徹底的にユーザーに寄り添い、サービスを磨いてきました。自分を信じていないからこそ自分の意見に固執しないし、フォロワーさんを巻き込んだ開発スタイルができることが強みです」(あつたさん)
ただ、SNSを通して情報を公開することは諸刃の剣でもあり、Twitter上で公開していた質問項目と類似した内容の他社サービスが知らぬ間に出ている、なんてことも。とはいえ、「同業他社も含め市場を盛り上げたい」と語るあつたさん。最大の武器であるフォロワーとのつながりや拡散力によってリリース告知は6000を超えるいいねが集まり、テレビ露出も獲得。じわじわとファンを増やすことに成功しているようだ。
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