――日本で美容用品のような商品のインフルエンサーというと、人気ユーチューバーや若いタレントなどを思い浮べますが。
濱野: こちらのCEOは40代くらいの男性です。(日本などでは)インフルエンサーというと、商品への熱量や専門性はそれほど高くないものの、フォロワー数が多い(ユーチューバーのような)人物がメーンでした。ただ、今後はそういったものは淘汰されていくと私は考えています。
逆にこの林清軒CEOのようなインフルエンサーは、フォロワー数は最初は少なかったりするが、商品への熱量や専門性が高い。もともと知名度もあったのでフォロワーだって増えていく。しかも旧来の(プロのユーチューバーのような)インフルエンサーと違って宣伝費もただです。
――日本でも、アパレルのスタッフがInstagramなどで商品を紹介したり、オンライン接客を強化する動きが始まっています。ただ、日本のインフルエンサーマーケティング市場は18年で219億円(デジタルインファクト社推定)止まり。しかもこの多くは、旧来のユーチューバーなどによる商品・サービスの宣伝費がメーンとみられ、中国のように「KOLの勧めでECから直に商品を購入」という商流にはまだ乏しいとされています。他にも、コロナ禍よりずっと前から中国で盛り上がっているダブルイレブンのようなEC商戦は日本に無いものです。特にECにおいて、取り組みの先進性や規模で日中で差がついた理由をどう見ますか。
濱野: まず日本では既存の小売りによる流通が既に強かった、という背景があります。持続的に成長してきた(日本企業の)ジレンマでもあります。一方で、中国では(リアルな小売り店舗が)あまり無い中にSNSなどのサービスが生まれたので、ネット上でインフラが作りやすかった。
例えば中国の車にカーナビは(ほぼ)ありません。代わりにスマホが活躍しているのです。(日本ではあった)カーナビの時代をすっ飛ばしているため、新しいオンラインのインフラを作りやすかった。
フードデリバリーの発達や、コロナ禍におけるオンライン教育の提供にもみられるように、中国の方が「オンラインがオフラインを食いに行く」というような何か(古い物)を壊す力が強いのだと思います。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング