カレー店を増やすのは難しいのに、なぜ「100時間カレー」は急増しているのか水曜インタビュー劇場(欧風公演)(3/6 ページ)

» 2020年09月02日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

ポスティングで集客

素谷: オープン前までに、レシピを決めなければいけません。人気があるところ、話題になっているところなどを中心に食べ歩きました。店をたくさん回っていくうちに、方向性が定まってきたんですよね。「欧風カレーがおもしろそうだ」と。有名店のいいところをチョイスし、そこに自分なりのアレンジを加えて、商品を開発していきました。

 「カレーは2日目がおいしい」といった話を聞いたことがありますよね。時間をかけてつくったところ、おいしく感じることができました。このほかにも「牛肉をどのくらい煮込めばいいのか」「冷温熟成したほうがいいのか」といった形で、試行錯誤を重ねていくうちに、調理にものすごく時間をかけていることが分かってきました。調理時間を足してみると、100時間を超えていたんですよね。

 「ちょっと時間をかけすぎではないか」と不安を感じたのですが、味はおいしい。ただ、そのときに「100時間カレー」というネーミングはどうかと思いつきました。調理時間は長いけれど、インパクトを感じることができたので、「100時間カレーでいこう!」となりました。

100時間以上かけてつくるので、「100時間カレー」というネーミングに決まった

土肥: で、オープン初日を迎えたわけですよね。お客さんからはどんな反応がありましたか?

素谷: 会社の人間は、ポスティングが得意なんですよね。

土肥: ポスティングが得意? どういう意味ですか?

素谷: 当社はいくつかの事業を展開していまして、その一つにポスティングをやっています。カレー店をオープンするにあたって、近隣にチラシを配りました。自社のチラシを配るのは大きな会社が多いので、小さな会社のカレー店のメニューを見て、びっくりした人が多かったのかもしれません。「なに、これ?」と。また、住宅街に店を構えたので、「ここにカレー店ができるの? どんな味がするんだろう?」と注目したのかもしれません。いきなり、想定以上の客数となりました。

土肥: スタートダッシュが切れたわけですね。その勢いで2号店を出店したのですか?

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