カレー店を増やすのは難しいのに、なぜ「100時間カレー」は急増しているのか水曜インタビュー劇場(欧風公演)(5/6 ページ)

» 2020年09月02日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

併設店の運営は難しい

土肥: ふむふむ。そこで、気になることが一つ。新型コロナの感染者が増えて、2月末ごろから外食産業は大ダメージを受けることになりましたが、そのころに100時間カレーはデリバリーを増やしていますよね。感染拡大を受けて、「イートインはダメだ。デリバリーでいくぞー!」となったのでしょうか?

2020年の冬から、デリバリーとテイクアウトに注力

素谷: いえ、そういうわけではありません。オープン当初から、デリバリーにもチカラを入れていました。ただ、イートインとデリバリーを併設して運営することは、ものすごく難しいんですよね。来店客が多い時間帯と、デリバリーの注文が多い時間帯は同じ。ご想像のとおり、ランチタイムです。

 お腹はペコペコなのに、商品がすぐ出てこない。イライラしているときに、目の前でデリバリー用の商品を目にしたらどのように思いますか? 「カレー、あるじゃない。これ、出してよ」と感じる人がいるかもしれません。

 店のスタッフもそのことを気にかけていまして、どうしたらこの問題を解決することができるのか悶々としていました。また、人の問題もありました。配達するのに人員を確保しなければいけませんが、注文がなければその人件費が負担になる。そこをどうコントロールすればいいのか、といった課題もありました。

 しかし、解決策はなかなか見つからない。ということもあって、デリバリーをやめた店舗もありました。しかし、デリバリーを展開すれば、売り上げは伸びる。どうしたらいいのかなあと考えていたところ、名古屋に拠点を置くSBICさんから声がかかりました。「一緒に、やりませんか?」と。

 SBICさんは宅配専門店「かさねや」という業態を展開されている。とんかつを中心に、かつ丼やカレーなども扱っているんですよね。料理を提供するのは当社で、配達はSBICさんという形でできないかと考えました。

土肥: 店舗を持たずにデリバリー注文のみを受け付ける、「ゴーストレストラン」のような形でしょうか?

素谷: ですね。昨年12月に試験的に始めたところ、売り上げは好調でして。想定の5倍ほど売れたので、両社で「デリバリー店を拡大していこう」ということになりました。ちょうどそのころ新型コロナの感染拡大を受けて、既存店に影響が出ていました。特に、商業施設での売り上げは厳しかったので、新規出店はデリバリー専門にシフトしたところ、7カ月で70店舗以上展開することができました。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.