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Zoomにも上席? 遠隔時代のハラスメント防止リモート時代の落とし穴(1/2 ページ)

» 2020年09月10日 07時00分 公開
[増沢隆太INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:増沢隆太(ますざわ・りゅうた)

株式会社RMロンドンパートナーズ代表取締役。キャリアとコミュニケーションの専門家として、芸能人や政治家の謝罪会見などをコミュニケーションや危機管理の視点で、テレビ、ラジオ、新聞等において解説している。大学や企業でのキャリア開発やコミュニケーション講座を全国で展開中。著書「謝罪の作法」他多数。


 企業や学校などのリモート化で爆発的に普及したWeb会議システムZoom。さらに新機能がアップデートされ、リモート会議でも「上席設定」ができるとのこと。新しい生活様式に伴い、新たなビジネスマナーも生まれるのでしょうか?そんなことよりはるかに大事なのは遠隔業務が生むハラスメント対応です。

(1)リモート時代のハラスメント

 ハラスメントを個人の価値観や思い過ごしで看過できた時代はとうに終わり、企業の危機管理、リスク管理の視点では、それらへの無対策は許されない時代となりました。パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)は、大企業では2020年6月、中小企業では2022年4月から施行を義務付け、開始が始まっています。

 ハラスメントセミナーやハラスメント学習を実施しているから大丈夫というような形骸化した対策では許さない、強い政府の姿勢が見て取れます。会社は「知らなかった」「社員同士のトラブル」ではなく、そうした対応をしていないこと自体の責任を取らされるのです。

 ほとんど昭和のドラマのようなハラスメント行為を働く人間はまず見かけなくなりました。しかしいつの時代も犯罪者はなくならないように、当然ゼロではありません。リモートワークの導入など、これまでなかった環境が生まれ、新たなハラスメントは起きています。本質的なハラスメント対策や、ハラスメント防止意識がない人間の中には「これまでなかった」ゆえに新たなハラスメントに及ぶ例も出ています。

(2)Zoomでの席次

 すっかり定着した遠隔勤務やリモート会議。Web会議システムはどこでもフル稼働です。地方大学では就活学生がわざわざ交通費と時間をかけて東京や大都市に移動しなくても活動でき、新たな可能性が生まれるなどメリットも出ています。

 一方で昭和脳から脱却できない管理職などがITを理解できず、馬鹿げたマナーや馬鹿げたリモート管理を強行する例があります。勤務中、会議でもないのにずっとカメラやマイクをONさせ、常時監視体制をとる看守のような管理者。リモート会議でも上司が退室するまで部下が待つような、トンデモマナーを唱える魔道マナー。自宅からの会議参加で、背後の風景や自室の中身のようなプライバシーをイジる土足野郎。

 Zoomの表示順位にこだわったり、他人のプライバシーをあげつらうなど、完璧なハラスメント成立案件です。ハラスメント行為自体の認識の無い人間が立場だけ管理職などに就いているため、また管理者を管理するその上の管理者の目が届かないため、やりたい放題の放し飼い状態となっている職場もあります。

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