コロワイドが大戸屋へのTOBを開始する直前、デイリー新潮は7月6日掲載の記事「コロワイド、大戸屋プロキシ―ファイトに敗れて…前門の虎と後門の狼」で、コロワイドのバランスシートに計上されている「のれん」は価値が認められないと書いた。
バランスシート(日本語では貸借対照表・たいしゃくたいしょうひょう)は決算書の1つで、企業の保有する資産と借金(負債)が記載されている。貸借対照表は、左側には企業が保有している資産が掲載されていて「企業がどのようにお金を保有・運用しているか」が分かる。これを「資産」という。
右側は「企業がどのようにお金を調達したのか」を示している。これらのお金は、銀行から借りたお金など返す義務のあるものは「負債」とされ、株主から調達した返す義務のないものが「純資産」として区別されている。
貸借対照表(バランスシート)の構造
貸借対照表において、左側の資産から右側の負債を差し引いたものが「純資産」となる。これは、企業の実質的な資産をあらわしている。
例えば銀行口座に100万円の貯金があれば、100万円の「資産」があることになるが、反対側の負債・純資産も含めて見れば銀行から借金で調達したのか、それとも株主から調達したのかで状況はまったく異なる。
個人で考えれば、貯金を100万円持っている人でも、クレジットカードの借金が100万円残っていれば実質的な保有資産(純資産)はゼロだ。このように保有と調達、両方の視点から考えることを「複式簿記」という。
デイリー新潮の記事で取り上げられた「のれん」は資産の一種だ。現金や株、土地、建物などは分かりやすいが、のれんは「無形資産」と呼ばれ、文字通り形の無い資産だ。これは「企業を買収するときに発生する資産」という説明になる。さきほどバランスシートで説明した、企業の実質的な資産(=純資産)以上の値段で買収したとき、その差額をのれんと呼び、資産として計上する。
例えば純資産が100億円の企業を150億円で買収すると、買収した側の企業にのれんが50億円発生することになる。
純資産以上の額で企業を買収すると、のれんが発生する
のれん付きの買収によって貸借対照表はこう変わる
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