もともと新卒採用は企業と学生の情報の非対称性が高く、企業の方が強い立場にある構図でした。学生から応募が来て企業が選ぶという“待ち型”の採用が続いていましたが、景気が回復しはじめた11年ごろから逆求人型のサイトによって企業が学生にスカウトしに行く形が生まれ始めています。「世界一即戦力な男」というWebサイトを作って面接の申し込みを受ける学生も登場し、話題になりました。
企業と学生のパワーバランスに起こった変化は、19年のリクナビ問題にも象徴されるでしょう。企業側に誠実な姿勢が求められるとともに、企業側と学生側の“情報の透明性“が重視されるようになってきました。
このようなトレンドは今後もより加速していくと考えます。一方で、コロナ禍で急激に進んだ就活のオンライン化は不可逆でしょう。地方の学生にとってはもともと就職活動の苦労に違和感をもっていた人も多いため、移動時間の削減や効率化につながるオンライン選考は当たり前になるはずです。そんな中、上述のようにオンライン選考では「決め手に欠ける」といった内定者の不安の声もあるように、どのようにお互いにマッチングを見極めるかが重要になってきます。
さて、オンラインの採用が当たり前になる中、新卒採用ではいかに“リアルな情報”を伝えられるかが求められるのではないでしょうか。
デジタルネイティブ世代といわれる学生の志向性は常に変化しています。マイナビの調査結果によると、「自分の介在価値を感じたい」という思いを持つ学生が増えているそうです。リモートワーク下で自律型人材が求められる中、会社のブランドや給与などのハード面だけでなく、「なぜこの会社で働くのか」「自分の介在価値を感じるか」といったソフト面での充実は会社を選ぶ上でより重要になると考えられます。
ただ、こうした内容は、Web上の情報だけではなかなか伝えきれません。特に情報にあふれる時代を生きてきた学生は、「広告を信用しない」「インフルエンサーの商品紹介を疑う」というように情報の信ぴょう性に敏感になっており、友人の口コミなどを高く評価する傾向にあるようです。
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