このような経営者には、「多くのアイデアをぶつけてみる」ことが一番効果的です。
一生懸命時間をかけて経営者を納得させる素晴らしい施策を考えようとしても、百戦錬磨の経営者を納得させられるアイデアはなかなか出てきません。それよりも「多くのアイデアをぶつけてみる」ことが、経営者を納得させられる近道なのです。メディアで取り上げられるような素晴らしいアイデアを考えようとするのではなく、小さなことからスピード感をもってアイデアをぶつけてみることが大事なのです。
多くのアイデアをぶつけてみることで、経営者とのコミュニケーションが自然と深まり、いずれ納得できるアイデアが見つかるはずです。何度も繰り返し壁打ちしていくことで、経営者の考えの理解が深まり、逆にいいアイデアをもらえるかもしれません。高打率を狙うのではなく、多くの打席に立つ。これが、結果的に一番の近道なのです。活躍している多くの人事パーソンは、この壁打ちを山ほど経営者とやり続けています。
経営者は事業運営のプロフェッショナルですが、「人事のアマチュア」であることが大半です。経営者は人事以外の多くの仕事を広く考えねばなりません。人事の仕事は、人の心や気持ちが関わってくるため、とても複雑で手間がかかる仕事です。だからこそ人事に任せ、多くのアイデアを待っているのです。忙しい経営者に事業に集中してもらうためにも、より多くのアイデアをぶつけてみることを心掛けてください。
これからますます重要になってくる人事施策を進めていくためには、人事が経営者からの信頼を深めていくことも重要になります。最後に、筆者がさまざまな経営者と対峙してきた経験から、信頼を得るための「3つのポイント」をお伝えします。
経営者から信頼を得るために最も重要なポイントは、「経営者が困っていることから優先して取り組むこと」です。人間は、困っていることを助けてくれる人に対する信頼は強くなります。それは、経営者ももちろん同じです。筆者は、お会いした経営者には必ず最初に「今最も困っていることは何ですか」という質問をします。そして、その「困っていること」から解決するように取り組むことにしています。困っていることから優先的に取り組むことで、経営者からのはじめの信頼を勝ち得ることができるはずです。
経営者は、他社で行っている数多くの人事施策や理論を俯瞰的に学んでいます。しかし、自社に当てはめるとどうなるのか、それが分からず悩んでいます。自社の環境や特徴を踏まえた上でどう対処するべきなのか、経営者はその答えを欲しがっています。人事の理論や他社事例も大事ですが、「うちの会社のクセ」「うちの会社の流儀」「うちの会社で大事にしたいもの」などはそれぞれ異なるため、一般論のメソッドではなく「自社に合う」アイデアを考えることが大事です。
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