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リモートワーク下の「孤独な営業」にどう立ち向かうか「コンタクトレス・アプローチ」に迫る(2/3 ページ)

» 2020年10月30日 08時30分 公開
[長尾一洋ITmedia]

重要度高まるセルフマネジメント

 セルフマネジメントの能力は、コンタクトレス時代において、これまで以上に重要視されるにちがいありません。

 本書の読者は、営業部門を持つ企業の経営者の方や営業部門をマネジメントする立場におられる管理職の方、あるいはお客様相手に現場で汗を流す営業担当者の方が多いと思います。営業という仕事に日々深くかかわっていて、営業活動にそれぞれの立場でいそしんでおられる。私自身もその1人です。

photo 顧客と「会わないこと」で逆に成果を挙げるコンタクトレス・アプローチについて迫った『コンタクトレス・アプローチ テレワーク時代の営業の強化書』(著・長尾一洋、KADOKAWA)

 だからこそ、共感していただけると思うのですが、営業というのは孤独な仕事です。自分1人で電話をかける、客先に訪問する。コンタクトレス・アプローチの場合もそれは同じで、Web商談でも他の人がいない静かな環境の中で、1人でPCと向き合う。

 そうした孤独の中で、営業マンは心も体も疲弊していきます。さらには、売り上げの目標も強いられると、「もう、営業なんかイヤだ」とつい弱音を吐いてしまうものです。

 経営者・管理職側が「もっとやる気を出して、自ら率先して動いてほしい」と目標を設定しても、「そう言われても、やる気が出ないんだよなあ」とぼやいている。

 そんな状況が、多くの現場で起こっているような気がします。

 しかし、本書で見てきたように、営業の在り方は変わり、アマゾンエフェクトのような通販の台頭もあり、惰性で指示待ちの御用聞き営業では、存在価値がなくなる運命にあります。第2章で説明した「RCTA」ステップを駆け上がり、顧客からの信用・信頼を勝ち取って、ときに顧客を否定し、顧客の考えを超えていかなければならない。ぼやいたり、弱音を吐いたりしている場合ではないのです。

「やめろ」と言われてもやりたくなるモノ

 「もういい加減にしておけ!」「いったい、いつまでやっているの!」と責められる。「もうちょっとだけ〜」と粘って、また叱られる。いったんはやめても、隙さえあれば、また始めてしまう。

 責める方なのか、責められる方なのかは別として、こういう会話はよくあります。何を「やめろ」と言われているのか、「やめたくない」とがんばっているのか。もうお分かりだと思います。ゲームです。

 ゲームには、人を夢中にさせる力があります。時間を忘れて、つい没頭してしまう。もっともっとやりたくなる。そして、これが非常に大事なことなのですが、ワクワクして面白くて、とても楽しい。

 コロナ禍の真っただ中(2020年3月20日)に発売された任天堂のニンテンドースイッチ向けの新作ゲームソフト『あつまれ どうぶつの森』は、ステイホームというニーズとマッチしたこともあり、発売後6週間で1300万本以上の世界的大ヒットとなりました。

 もちろん、こういったオンラインやコンピュータを使ったゲームだけが、ここで言う「ゲーム」ではありません。トランプや花札のようなカードゲーム、『人生ゲーム』のようなボードゲームも「ゲーム」ですし、ボウリングやゴルフなども「ゲーム」として私たちは楽しんでいます。とにかく、みんな「ゲーム」が大好きなのです。

 それならば、営業という仕事を「ゲーム」にできないものでしょうか。

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