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リモートワーク下の「孤独な営業」にどう立ち向かうか「コンタクトレス・アプローチ」に迫る(3/3 ページ)

» 2020年10月30日 08時30分 公開
[長尾一洋ITmedia]
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営業を「ゲーム」化する4要素

 「あつまれ営業マン」のようなゲームソフトをつくろうという話ではありません。企業活動の中で業務として行っている営業を、「ゲーム」のように夢中になって楽しめるようにできないか? ということです。

 営業をゲームのように楽しめるものにしたい。そう聞くと、たいていの人は「そんなに都合よくいくはずない」と苦笑いするでしょう。営業を苦手にしている人なら「楽しいからゲームなんですよ! 営業は楽しくないのにゲームになるわけないでしょう!」と怒り出すかもしれません。

photo 著者の長尾 一洋(ながお・かずひろ)氏。NIコンサルティング代表取締役、中小企業診断士。横浜市立大学商学部経営学科を卒業後、経営コンサルティング会社で営業指導、戦略策定、人事改革などを経験し、課長職を経て独立。1991年にNIコンサルティングを設立し、日本企業の経営体質改善、営業力強化、人材育成に取り組む。『孫子』の知恵を現代企業の経営に活かす孫子兵法家としても活動中。

 けれども、実は、あらゆるものは4つの要素を満たせばゲームになります。逆に言えば、今ゲームとして人々を楽しませているものは全て、4つの要素を兼ね備えています。その4つとは、次のようなものです。

 1.何をすべきかが明確になっている。

 2.自分が今どこにいるかが可視化されている。

 3.アクションに対して即時フィードバックがある。

 4.ゴールまたは目標を達成すると、何らかの報酬がある。

 1つ目の要素「何をすべきかが明確になっている」は、目標や課題、何をやればいいのかがはっきりしているということです。例えば冒険をするようなロールプレイングゲームなら、地図を見ながら「この場所に行く」「話を聞いて謎を解く」などの小さな課題と、「敵を倒して平和を取り戻す」というような最終的なゴールが明確になっています。だからこそ、そこに向かってアクションを起こせるのです。

 2つ目の要素「自分が今どこにいるかが可視化されている」は、自分自身の現在地や現状が、客観的な数値あるいは、ポイントやランキングなどで分かるようになっているということです。この地図上の、この島にいる。自分のパワーレベルはこれくらいで、所持金はいくら。ゲームの中では、それがはっきりと「見える」形で示されています。

 3つ目の要素「アクションに対して即時フィードバックがある」は、自分が行った行動に対して、他者からの反応や称賛があるということです。ゲームをやっているときに、無音だとつまらないでしょう。やはり何かに挑戦して成功したときには「パンパカパーン」とファンファーレが鳴ってほしい。失敗したときに「ボヨーン」というような音が鳴るのも、「次はがんばるぞー」という気持ちを盛り上げてくれたりします。

 4つ目の要素「ゴールまたは目標を達成すると、何らかの報酬がある」は、達成感を満たしてくれるご褒美があるということです。金銭的なものでなくて精神的なものでもOKです。「すごいね!」「やったね!」と言われると、うれしくてまたやりたくなります。

 このように4つの要素がそろいさえすれば、どんなことも「ゲーム」になる。当然、営業の仕事もなり得ます。というよりも、もともと営業の仕事は「ゲーム」になりやすい構造になっています。

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