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» 2020年11月05日 07時00分 公開

浦上早苗「中国式ニューエコノミー」:アリババ「独身の日」セール、2020年は期間4倍 〜「ニューノーマル」で構造見直し (2/4)

[浦上早苗,ITmedia]

物流、小売業の変革を加速

 アリババが仕掛けた独身の日セールは、中国の産業に巨大な変化をもたらした。

 2010年代前半は、セールの副作用として物流・配送が麻痺し、消費者の怒りを産んだ。配送需要が1日に集中してシステムが混乱し、配送の遅延や荷物の紛失が相次いだのだ。

 アリババのECサイトは物流を他社に委託しているが、配送トラブルがユーザー体験を著しく毀損(きそん)したことを受け、13年に物流子会社「菜鳥網絡」を設立。ビッグデータなどを活用して、配送体制の改善を進めてきた。独身の日セールは、EC各社が配送力を競うイベントにもなっており、アリババやJD.comが毎年11月11日未明、「0時〇分に最初の配送物が注文者に届いた」と発表するのが風物詩となった。

11月1日に販売期間(消費者決済)が始まった瞬間、荷物が発送される様子(提供:アリババ)

 アリババは11月11日に日付が変わった瞬間、「1分で売上高〇〇元突破」と発表するなど、節目の数字を立て続けに公表する。19年は1時間3分59秒で1000億元(約1兆6000億円)を突破したと発表したが、実際には開始から1分でこれだけの注文が殺到しているわけでなく、10月下旬から開始している「予約受付」が11月11日0時に一気に決済される仕組みになっている。

 つまり、セールの売上高は実質的には「11月11日」1日の売り上げというわけではない。各ECサイトはセールの少し前に発表されるiPhoneやファーウェイの新機種の購入に使えるクーポンなどを配布し、消費者を囲い込む。消費者は欲しい商品と各サイトの実質価格を見比べながら、手付金を払って11月11日以前に商品の購入予約を入れている。

 独身の日セールを前に、消費者は10月を品定め期間にする傾向があるため、同月には統計にも表れるほどの買い控えが起きる。特にリアル店舗の打撃は甚大で、危機感を強めた小売業のデジタル化やECサイトとの資本・業務提携も加速している。

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