それとは逆に、意識の視界が広く明るい人もいます。業務そのものをしっかり見つめることはもちろん、前工程・後工程の人に気配りをし、上司や部下・メンバーに対して目配りもする。たとえ自分がじかに顧客に接していなくても、自分の業務の質がどう末端の顧客に影響を与えるかがイメージできる。また、自分が判断・行動するときに、経営側の意思・方針とどう整合性があるのか、ないのかを考える。
こうした「意識の視界」差は能力や性格の差によって生じるというより、仕事を「自分ごと」にしているか、していないかの差によるものです。
事業組織にとって「優れた人材」とはどんな人材でしょうか。その分野の知識やスキルを保持した人でしょうか。知識やスキルを十分に保持していても、仕事を「自分ごと」にできず、「意識の視野」が狭く・暗くなっている場合が起こりえます。
能力の発揮は、意識の醸成と不可分です。あらためて言わずもがなですが、人材育成において重要なことは、知識やスキル習得よりも一段下にある「意識の醸成」層に目を向け、手を下すことです。ジョブ型雇用の拡大や、リモートワークによる業務の分断が進めば進むほど、個々が自分の仕事をとらえる「意識の視界」具合は見逃せない観点になってきます。(村山昇)
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