土肥: ちょ、ちょっと待ってください。お客さんがキョロキョロしただけで、塚田農場のスタッフは「はい、なんでしょう?」といった対応をしているんですよね。であれば、ジョッキの中の残量が減ってくれば「おかわり、いかがでしょう?」といった声をかけることくらいできるはず。
中谷: もちろん、飲料が減ってくれば「お客さんに、お声がけください」といった教育はしていると思います。ただ、その一方で、スタッフは「お客さんの会話をさえぎってはいけない」「飲みたかったら、自ら注文するはず」などと感じていたのかもしれません。
その気持ちはよく分かるのですが、とはいえ注文したいのに注文できていないお客さんのストレスをなんとかしなければいけません。じゃ、どうすればいいのか。ジョッキに残っている飲料が10%を切るタイミングで、お声がけをすればいいのではないかと考えました。
土肥: 「あの客のジョッキは、10%を切ったぞ」「いや、まだ20%は残っているぞ」といった感じで、じーっと見ていると、客はストレスを感じるのでは?
中谷: パッと見て、分かるにはどうすればいいのか。お客さんの「肘」の角度に注目しました。
土肥: 肘?
中谷: ジョッキで飲んでいて、飲料がフラットになるときがありますよね。そのときの残量は、10%ほど。フラットになっているとき、人間はどんな姿勢になっているのか。肘の角度が90度になるんですよね。というわけで、「肘が直角になったときに注文をうかがえばいいのでは」と提案しました。
で、結果はどうだったのか。実証実験の店舗で、ドリンク残量10%からの対応速度を見ると、以前は平均4.9分でしたが、平均3.2分に。1.7分改善することで、平均ドリンク杯数は1人あたり0.18杯上昇しました。「0.18」という数字を聞いても、「なーんだ、そんなものか」と思われたかもしれませんが、店舗数や客数などを考えると、売り上げに大きく貢献しているんですよね。
土肥: 先ほど、昨年12月と今年1月の既存店売上が伸びたといった話をしました。その背景には「お客さんの見えないストレス」を改善するために、さまざまな取り組みをしていたわけですね。
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