ハイテクの強さとともに、21年の世界市場はいわゆる“ゴルディロックス”、適温相場になると見る。ゴルディロックスを見込む理由の1つは、先のITセクターでの構造調整だ。2つめには低金利を挙げる。
「物価が上がらない状況の中では、(中央銀行は)低金利を維持しなくてはいけない。低金利に最も恩恵を受けるのはハイテク株」
3つめには、コロナ対策の補助金や給付金などによる過剰流動性だ。現金と預金を合わせたいわゆる「M1」は、これまでの歴史でなかったほどに積み上がった。企業や個人の銀行口座には、かつてないほどのお金が入っている状況だ。
現金と預金を合わせたM1は、コロナ禍で大きく積み上がっている(三井住友DSアセットマネジメント)
「行き場のないM1(マネー)がたまっている。このお金を株式に投資するのか、モノを買うのか。消費が本格的に戻らないのであれば、このお金は株式に流れるのではないか」
ただし、21年の後半は不透明だ。4〜6月のタイミングで、世界経済の回復や、ワクチンの浸透など市場の牽引材料が出尽くす見込み。「好材料が出尽くすのが4〜6月の時期だとすると、お金は1〜3月に動く。1月にはIMFが新しい見通しを出すなど、カタリスト(触媒)が集まりやすい局面にある」からだ。
- 市場関係者も想定外 株価上昇はどこまで続く?
日経平均株価の上昇が止まらない。これは市場関係者の間でも想定外だった。「日経平均株価は非常に強い。5月中旬以降、世界の株式は非常に力強く上昇している。日経平均も2万円は超えないだろうと考えていた市場参加者は多かった。その中で、ここまで上昇してきた」
- 株価二番底はない? 今の株価がバブルではないワケ
「二番底は来ないのかとよく聞かれるが、今想定される範囲内では、大きく下がる理由はほとんどない」。日興アセットマネジメントの記者向けセミナーで、チーフストラテジストの神山直樹氏は、このように話した。
- アフター・コロナの中国はいま
中国は、コロナ禍の影響から経済が大幅に落ち込んだものの、感染拡大の初期段階で行動制限等の措置を素早くとったことにより、現状、生産など経済活動は他国に先駆けて正常化しつつある。
- 株価が待つ景気回復
足元、コロナ・ショックの混乱期(2020年3月から6月)に世界のエコノミストが想定した経済回復シナリオに沿って、米国の経済回復は順調に進んでいるといえる。米国を含む主要国で新型コロナウイルスの感染者が再度増加しているにもかかわらず、当初の医療崩壊懸念を含む混乱はおおむね避けられ、注目は経済回復の進度に向かっている。
- コロナ禍で産業構造は変化しているのか
産業構造変化の観点からみると、経済と主要株価指数は以前から乖離しており、今回のコロナ・ショックで偶然に加速した。数年かかると思われた変化が、コロナ・ショックをきっかけに一気に進んだ面はあるが、ショック自体が業種別比率の変化の方向を変えたのではない。
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