リスクもある。最大のリスクは、ワクチンの動向ではなく長期金利だという見立てだ。現時点では、需要落ち込みの影響が強くデフレ懸念が強いため、期待インフレ率も上昇せず、長期金利も低位で安定している。しかし、経済の状況次第ではそれが逆転するかもしれない。
「米国の雇用統計が少し悪化するくらいなら、金融緩和は止められないだろうと市場は判断するが、雇用統計が例えば2カ月連続で上昇すると、(金融緩和の停止をにらんで)長期金利が反応するだろう」
今後3年の米政策金利の予測。しばらくの間は低金利が継続すると予測する(三井住友DSアセットマネジメント)
現在、コロナ禍を受けてさまざまな社会の変化が起きている。小さな政府から大きな政府への転換、資本分配から労働分配重視への転換、グローバライゼーションの巻き戻し、企業マージンの圧縮、外国人労働者など労働供給の減少、財政赤字拡大などだ。中長期の視点では、これらのことから、「長期的には1980年代以降、35〜40年継続してきたインフレ率、長期金利のダウントレンドが転換する可能性がある」とした。
- 市場関係者も想定外 株価上昇はどこまで続く?
日経平均株価の上昇が止まらない。これは市場関係者の間でも想定外だった。「日経平均株価は非常に強い。5月中旬以降、世界の株式は非常に力強く上昇している。日経平均も2万円は超えないだろうと考えていた市場参加者は多かった。その中で、ここまで上昇してきた」
- 株価二番底はない? 今の株価がバブルではないワケ
「二番底は来ないのかとよく聞かれるが、今想定される範囲内では、大きく下がる理由はほとんどない」。日興アセットマネジメントの記者向けセミナーで、チーフストラテジストの神山直樹氏は、このように話した。
- アフター・コロナの中国はいま
中国は、コロナ禍の影響から経済が大幅に落ち込んだものの、感染拡大の初期段階で行動制限等の措置を素早くとったことにより、現状、生産など経済活動は他国に先駆けて正常化しつつある。
- 株価が待つ景気回復
足元、コロナ・ショックの混乱期(2020年3月から6月)に世界のエコノミストが想定した経済回復シナリオに沿って、米国の経済回復は順調に進んでいるといえる。米国を含む主要国で新型コロナウイルスの感染者が再度増加しているにもかかわらず、当初の医療崩壊懸念を含む混乱はおおむね避けられ、注目は経済回復の進度に向かっている。
- コロナ禍で産業構造は変化しているのか
産業構造変化の観点からみると、経済と主要株価指数は以前から乖離しており、今回のコロナ・ショックで偶然に加速した。数年かかると思われた変化が、コロナ・ショックをきっかけに一気に進んだ面はあるが、ショック自体が業種別比率の変化の方向を変えたのではない。
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