2000年に誕生した「生茶」ブランドは今年で発売20周年を迎えた。発売当時のCMには女優の松嶋菜々子を起用。「お茶にも『生』があったんだ」というキャッチフレーズと、お茶の“うまみ”にポイントをあてた戦略で生茶は大ヒット。圧倒的なシェアを誇る伊藤園の「お〜いお茶」を猛追した。
生茶の成功を受け、各社がペットボトル入り緑茶市場へと参入し競争が激化。その結果、緑茶商品の選択肢が広がり生茶の売り上げは低迷する結果に。山田氏は「長期的に苦しんだ時期だった」と振り返る。
その状況を打開すべく、同社は16年に生茶の大規模なリニューアルを実施。新しいイメージを作り上げるため、ガラスのびんをイメージしたボトルと和モダンな雰囲気のラベルを採用した。このリニューアルは反響を呼び、発売から4日で100万ケースを売り上げる結果に。しかしその勢いは長続きせず、定着には至らなかったという。
また、近年のお茶市場のトレンドは緑茶からブレンド茶やウーロン茶などの「茶色系のお茶」へシフト。飲料メーカー各社が“茶色系”の商品を展開し、無糖茶市場で茶色系のお茶が急成長する中、主要カテゴリーである緑茶の成長は鈍化。緑茶1本で勝負していた生茶の売り上げは再び伸び悩む結果となった。
「消費者調査を実施したところ、緑茶を飲むユーザーの約60%が茶色系のお茶も日常的に飲んでいた。(茶色系のお茶を好む人の)受け皿がない状態では、ブランド成長につながらないと判断した」(山田氏)
そこで同社は、2本目の柱となる新商品の開発に着手。注目したのが「ほうじ茶」だった。近年、飲料メーカーをはじめカフェチェーンやスイーツ業界などがほうじ茶を使った商品を展開している。食品マーケティング研究所の調べによると、2019年のほうじ茶市場は前年比124%と急速に拡大。女性を中心にブームとなっているのだ。
山田氏は、このブームについて「昔から慣れ親しんだ安心感がありながらも、どこか新しい雰囲気がある『古くて新しい』飲み物として楽しんでいるのではないか」と分析する。
そこで開発チームはさまざまなほうじ茶を片っ端から飲み、生茶にふさわしい味を確かめた。その中で「すごくきれいな余韻がする、おいしいほうじ茶」(山田氏)を見つけたという。「市販の商品は、急須で入れたような伝統的な味が主流だと思っていたが(そのほうじ茶は)すっきりしたきれいで上品な味だった。いい意味で既成概念を覆す味がした。『これが生茶が目指す方向だな』と思えた」
商品化に向け、生茶の「和モダン」なテイストに合うよう「濃いのにすっきり」とした味わいを追求した。試作品の数は約900本にも及んだという。商品パッケージは新たなお客にも手に取ってもらえるよう、本格感と現代性をイメージしたデザインを採用した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング