倉石氏は男性化粧品の特徴として、一度選んだブランドを長く愛用する点を挙げる。ルシードもブランド誕生から20年が経過し、発売当初から商品を購入している層が40代になっていた。「デビューから支えていただいた方が40代になったこともあり、ブランドのポジションを明確にするため、ターゲットを40代に固定しようと判断した」
また、40代男性は人口のボリュームゾーンとなっていて、今後も人口構成比の拡大が想定された。しかし2010年前半の男性化粧品市場は若者向けの商品が多く、ミドル世代をターゲットにした商品は圧倒的に少なかった。「ミドル世代向けの商品がないのであれば、ミドル市場を打ち立てようという思いで取り組んだ」(倉石氏)
11年、ルシードは男性の初期加齢に着目した男性用エイジングケアブランドとしてリニューアル。40代男性が抱える髪や肌の悩みに特化した商品や、「ニオイケア」シリーズを展開していくことに。
そこで頭を悩ませたのがターゲットに向けた訴求方法だ。パッケージに「40才からの」と表記する戦略をとることにしたが、社内外から「売り上げが落ちている中で買ってくれる人数を狭めるのはどうか」という反発があったという。倉石氏は「『あなた向けのブランドです』と訴えることが重要で、40代からの支持を得られれば実績は拡大するはずだ」と信念を持っていたと振り返る。
ブランド復活に向け舵を切った戦略は的中し売り上げは大幅に回復。19年の売り上げは12年比で204%を達成し、過去最高を記録した。また19年の40代男性におけるブランドシェアは12年比で2.5倍、当時8位だったシェアランキングも5位まで上昇した。
パッケージの年齢表記も、ターゲットに近い40代の男性から「効果がありそう」「これを使えば良いと分かりやすい」などと好意的な声が上がっていた。15年秋からはより年齢を強調するデザインを採用することになった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング