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中小企業でもジョブ型雇用は可能なのか難しいのでは(1/3 ページ)

» 2020年12月21日 12時35分 公開
[猪口真INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:猪口真(いのぐち・まこと)

株式会社パトス代表取締役。


 「ジョブ型雇用」という言葉をよく聞くようになった。

 従来のメンバーシップ型と比較して言われる言葉だが、従来というかほとんどの会社は、まず人を採用し、そのなかで仕事を割り振る、いわゆる「適材適所」と言われる仕事の与え方だったし、今もそうだ。(当然、仕事が増えれば人も欲しいとなるが、採用はその仕事だけのために採用するのではない)

 一方、ジョブ型は、最初に仕事ありきで、その仕事にあった採用や配置転換を行う、要は「適所適材」というわけだ。

 「雇用>仕事」から「仕事>雇用」への転換とも言えるだろうか。

 このジョブ型を採用すれば、「仕事内容はジョブディスクリプションで明確に規定されているため、出すべき成果が明確」「仕事、ポストありきの採用のため専門性の高い人材が集まる」「若手を抜てきでき、年功序列から脱却できる」などと、これからの未来はこれしかない、これさえあればコロナも怖くない的な万能施策と勘違いする人も多く、これまでのメンバーシップ型ではもうだめだといった論調も目立つ。

 仕事の目標や到達点は、ジョブディスクリプションと呼ばれる仕事の定義書を結び、その内容に則して評価する。このジョブディスクリプション、古くから外資系企業ではよくつかわれており、目新しものではないのだが、ジョブ型の人材登用の言葉とともに、よく出てくるようになった。

 イメージとしては、専門性の高い仕事に、プロが集い、仕事の成果は明確に定義され、プロの仕事をするといった感じか。

 このコロナ禍で、否応なしにテレークやリモートワークとなり、仕事のプロセス管理が行いづらくなった。テレワークにおいて、いちいち仕事のこまかい指示を与えることも難しく、仕事は自分で見つけ、ある程度の裁量とともに、結果を出すことが求められ、その成果で評価をしようという流れになっている企業も増えてきた。

 しかし本当にそううまくいくのだろうか。難しいのではないかという疑問は、すぐに思い浮かぶ。

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