軍用地の購入をきっかけに、東京から沖縄へと移り住んだ人もいる。財全グループにこの20年9月に転職した吉澤勇人さんだ。前職はSBIホールディングスだった。
5市町村にまたがる嘉手納弾薬庫のうち、沖縄市にある9坪の土地を、ことし5月に189万円で買い付けた。購入後にもかかわらずわざわざ沖縄に来たのは、軍用地にまつわる情報にアクセスしやすい点や、今後のさらなる購入も見据えて地理的な感覚を養いたかったからだ。
「取引の需要が高いのですぐに売り買いできる状況です。貸し渋りもなく賃料も上がっていっています。米軍基地の場合、『借主が日本国で転貸先が米軍』というダイナミックさのある不動産だとも思います。実際に入って現場を見ることができないので、(不動産なのに)バーチャル感もあります。仕事上の勉強のためという側面も大きいです」(吉澤さん)
吉澤さんが軍用地投資を意識し始めたのは12年、大学1年の時にある雑誌で億万長者番付のような企画ページを読んでいた時だ。西日本1位の人物の職業欄に「軍用地主」と書いてあったのを見て以来、ずっと関心が頭の片隅にあった。「こんな人が存在するんだ、と驚きました」
情報収集は主にTwitterで行うという。軍用地主のニッチなコミュニティーがあり、コアな情報が手に入る。セミナーや飲み会にも顔を出して、自ら情報収集に励む。
「軍用地が好きな人同士では、同じ基地の中でも住居部分より滑走路部分を持っている方が土地の価格こそ同じですが『かっこいい』と自慢できます。米軍基地の場合だと内部が見えない分、那覇空港に土地を持っている人は民間機の離着陸時に自分の土地が目視できるので、そこに付加価値が付いて価格が上がることもあります」(吉澤さん)
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