”条件外の人”でも運命を感じた! 政府支援の「AI婚活」、その実力は?救世主(3/5 ページ)

» 2020年12月26日 08時19分 公開
[小林香織ITmedia]

【埼玉】112問の質問で価値観をクロスマッチング

 18年に開設された「SAITAMA出会いサポートセンター」でも、AI導入により一定の効果が出ているそうだ。埼玉では、センター開設時からAIを利用している。

 行動履歴を解析した独自AIシステムを持つ愛媛とは異なり、埼玉では、結婚相談所「パートナーエージェント」などを運営する婚活事業のエキスパート、タメニーが開発したAIシステムを採用した。

 これは「自分が大切にしている価値観」46問と「相手に求める価値観」66問の質問に答え、それぞれの価値観をクロスマッチングさせるもの。要は、自分と価値観が似ていて、かつ自分が求める価値観を持つ相手をレコメンドしてくれるのだ。合致率の高さは、1〜3の★の数で示される。

 AB2つの質問を4つの選択肢から選ぶスタイルで、心理学とコミュニケーション学の専門家によって作られている。

自分に当てはまるものを選択するタイプの質問項目の実例(提供:タメニー)

 AIは条件を一切考慮せず、純粋に価値観のみで候補者をピックアップするため、20代の女性を希望している男性に40代の女性を勧めることもある。しかし、いくつかの条件が一致せずとも、価値観が深く一致する相手なら成婚に至るケースも大いにあるようだ。

 「2020年11月末時点で成婚されたのは68組、そのうちAIの紹介が33組です。成婚者の方からは『AIがなければ出会えていなかった』『自分の意思だけでは申し込まない相手だったけれど、会ってみたら楽しい時間が過ごせた』といったお話をよく聞きます。なかには『運命を感じた』という方も」(福祉部 少子政策課 企画・子育てムーブメント担当 吉田賢一氏)

 成婚したカップルのうち約半数がAIのアシストによるもの。この結果を見ると、AIが十分に効果を発揮しているといえそうだ。埼玉にも、お見合いでの振る舞いやコミュニケーションのポイントなどをアドバイスする相談員がおり、やはり彼らの存在も交際率、成婚率を押し上げる一助になっているという。

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