ここでひとつ筆者がとても気にしていることがある。昨20年の5月7日、経産省参与に水野弘道氏が就任した。省庁の人事なので、少なくとも1カ月くらい前には内示は出ているはずである。常識的に考えればその前に身元の確認はするだろう。
そういう就任までの一連の手続きを終えていると思われる4月23日、水野氏は米テスラの社外取締役に就任し、現在に至っても2つの仕事を兼務している。この時系列についてはよく考えるべきだろう。仮に経産省参与に就任後だったら、問題視されるだろうし、身元確認時にすでにテスラの社外取締役だったら、果たして参与の内示は出ただろうか? かつてプロ野球界に激震を起こした「空白の一日」と、構図が酷似してはいないか?
経済産業省の参与とともに、米テスラの社外取締役に就任した、元GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)CEOの水野弘道氏
そしてそもそも、日本の産業界を指導する監督官庁の参与が、わが国の基幹産業と競合する国外企業の社外取締役であることは、筆者には異常事態にしか見えない。
さて話を元に戻して、つまり実態がない所に尾ひれがついているわけだが、その尾ひれは意図的なものではないかと筆者は疑っている。世論を誘導して、徐々に「ガソリン車が禁止になるのはもうそういう流れだよね」という雰囲気を醸成しようとしている気がしてならないのだ。
- ガソリン車禁止の真実(ファクト編)
年末の慌ただしい時期に、自動車業界を震撼(しんかん)させたのがこのガソリン車禁止のニュースだった。10月26日の菅義偉首相の所信表明演説と、12月11日の小泉進次郎環境大臣会見が基本になるだろう。カンタンにするために、所信表明演説を超訳する。
- 新燃費規程 WLTCがドライバビリティを左右する
ここ最近よく聞かれるのが、「最近の新型車ってどうしてアイドルストップ機構が付いてないの?」という質問だ。全部が全部装備しなくなったわけではないが、一時のように当たり前に装備している状況でなくなったのは確かだ。それに対してはこう答えている。「燃費の基準になる測定方法が変わったから」。
- ようやくHVの再評価を決めた中国
中国での環境規制に見直しが入る。EV/FCVへの転換をやれる限り実行してみた結果として、見込みが甘かったことが分かった。そこでもう一度CO2を効率的に削減できる方法を見直した結果、当面のブリッジとしてHVを再評価する動きになった。今後10年はHVが主流の時代が続くだろう。
- 暴走が止まらないヨーロッパ
英政府は、ガソリン車、ディーゼル車の新車販売を、ハイブリッド(HV)とプラグインハイブリッド(PHEV)も含め、2035年に禁止すると発表した。欧州の主要国はすでに2040年前後を目処に、内燃機関の新車販売を禁止する方向を打ち出している。地球環境を本当に心配し、より素早くCO2削減を進めようとするならば、理想主義に引きずられて「いかなる場合もゼロエミッション」ではなく、HVなども含めて普及させる方が重要ではないか。
- 自動車メーカーを震撼させる環境規制の激変
「最近のクルマは燃費ばかり気にしてつまらなくなった」と嘆いても仕方ない。自動車メーカーが燃費を気にするのは、売れる売れないという目先のカネ勘定ではなくて、燃費基準に達しないと罰金で制裁されるからだ。昨今の環境規制状況と、それが転換点にあることを解説する。各メーカーはそのための戦略を練ってきたが、ここにきて4つの番狂わせがあった。
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