クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向
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» 2020年06月29日 07時00分 公開

池田直渡「週刊モータージャーナル」:ようやくHVの再評価を決めた中国 (1/4)

中国での環境規制に見直しが入る。EV/FCVへの転換をやれる限り実行してみた結果として、見込みが甘かったことが分かった。そこでもう一度CO2を効率的に削減できる方法を見直した結果、当面のブリッジとしてHVを再評価する動きになった。今後10年はHVが主流の時代が続くだろう。

[池田直渡,ITmedia]

 中国での環境規制におけるハイブリッド(HV)の見直しについては、すでに2018年頃から、散発的な報道が流れ続けてきたが、6月22日の日本経済新聞電子版の記事で、中国政府のHV(ハイブリッド車)見直し確定がスクープされた。

 中国には現在、異なる2つのアプローチの環境規制が存在する。NEV(ニューエネルギービークル)規制とCAFC(コーポレート・アベレージ・フューエル・コンサンプション)規制で、それぞれ米国のZEV(ゼロ・エミッション・ビークル)規制と欧州のCAFE(カンパニー・アベレージ・フューエル・エコノミー)規制に対応するものだ。

レクサス初のEVとなるUX300eのプラットフォーム

ゼロエミッションか平均値か

 NEV/ZEV規制は一定以上の販売量がある自動車メーカーに対し、年度ごとにNEV/ZEV車両と認定されたクルマを一定比率生産することを義務付けた法律である。要するにメーカーに対して、ゼロエミッションのクルマの販売に力を入れさせる規制である。

 一例として北米12州で採用されているZEVの規制値を挙げておこう。

  • 2018年 4.5%(2.5%)
  • 2019年 7.0%(3.0%)
  • 2020年 9.5%(3.5%)
  • 2021年 12.0%(4.0%)
  • 2022年 14.5%(4.5%)
  • 2023年 17.0%(5.0%)
  • 2024年 19.5%(5.5%)
  • 2025年 22.0%(6.0%)

※年次の次のパーセンテージは全販売台数におけるゼロエミッション車の販売義務付け数。カッコ内は準ZEV扱いとなるPHVのカウント上限

 例えば20年に規制地域内で1万台の新車を売るとすれば、うち950台はZEVでなくてはならない。そのうち準ZEV扱いのPHVは最大で350台まで。準ZEVはそれ以上売れてもカウントに含めることができない。つまり1万台の内、950台の全てをEV(電気自動車)もしくはFCV(燃料電池車)で売るのは構わないが、PHV(プラグイン・ハイブリッド車)をカウントに入れる場合、350台までしか算入を認めないというルールだ。

 ちなみに、17年まではPHVは全数ZEVにカウントすることができたし、HVや天然ガス(CNG)車なども準ZEV扱いにカウントされていた。2010年代終盤は、規制をより厳格化して、それぞれ位置付けがスライドした。HVとCNG車は準ZEVとみなされなくなり、代わりにPHVが準ZEVに落とされた。環境問題の解決を進める流れが加速した時代であった。

 理念的に、ZEV/NEVの規制は排ガスゼロのクルマの普及を促進する規制であり、当然排気ガスを出す(つまりシステムの一部にでも内燃機関を組み込む)クルマに対しては懲罰的に臨む規制である。一方で、CAFE/CAFC規制は、当該メーカーの全販売車両の排ガス排出量を販売台数で割った平均値の低減を狙うものだ。その結果、2つの規制の間には矛盾が起きる。

 まだ妥協がわずかにあるものの、ZEV/NEVでは、割り当てられた比率のクルマは、わずかでも排ガスを出すものに否定的なのが本来の理念だが、CAFE/CAFCでは、メーカー平均のCO2排出量が年度ごとの規制値より少なければいい。「ゼロエミッションのクルマを増やしましょう」という規制と、「とにかくCO2排出総量を減らしましょう」という2つの規制があるというわけだ。

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