昨年の春に発出された「緊急事態宣言」は、鉄道各社に大きなダメージを与えた。売り上げや利益などの経営数字にも、利用者の大幅減による減収が大きく現れ、どの社も今期決算の最終見通しは厳しいと判断している。
昨春には学生や新社会人などの定期券購入の収入が減少、ゴールデンウイークは輸送量の大幅な減少があったほか、1年を通して鉄道利用者は減少。利用者数が戻ることを期待しながらも、旧来の人数が利用するとコロナウイルス感染拡大の一因になり得るジレンマもあった。
コロナ禍に運行する鉄道車両は、抗菌剤の吹き付けや窓開けを徹底し、新幹線などの窓のない車両では車内空調を徹底的に機能させることで、列車がクラスター発生源になることだけは避けられた。
しかし20年末、都営地下鉄大江戸線の乗務員にクラスターが発生。大江戸線では乗務員が不足することとなり、運行本数を通常の7割に削減した状態となった。1月12日から通常ダイヤに戻るという。
年末以降、新型コロナウイルスの感染拡大は前回の「緊急事態宣言」のときよりもはるかにひどい状況となり、鉄道の運行そのものにも影響を与えるようになった。
そんな中、1月8日に2度目の「緊急事態宣言」が発出された。今回の「緊急事態宣言」では、学校は休校にならない一方、企業などにはテレワークを推奨し、午後8時以降の外出自粛を求めている。
2度目の「緊急事態宣言」は東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県が対象となっているが、全国的な感染拡大の中で、対象地域が拡大していく可能性は高い。宣言発出が鉄道に与える影響はどのようなものだろうか。東京圏の鉄道を中心に、考えていきたい。
2度目の「緊急事態宣言」が、鉄道運行へもたらす影響を考える(写真提供:ゲッティイメージズ)
なぜ? 首都圏で「通勤向け特急」が増えている背景
JR東日本が、通勤向けの特急に力を入れている。すでに常磐線の「ときわ」、高崎線方面「スワローあかぎ」、中央・青梅線方面の「はちおうじ」「おうめ」が運行されているが、来春のダイヤ改正では、特急「湘南」が東海道本線方面にデビューする。これら通勤向け特急が運行される背景を考えてみたい。
地方私鉄や第三セクターのビジネスモデル探訪
鉄道会社グループというと、多様な関連ビジネスを行うことで経営実績を上げる事例がよく見られる。しかし経営の厳しい地方私鉄や第三セクターは、独自のビジネスを採用し、状況を改善しているところも多い。今回は、これら独自ビジネスを行う鉄道会社を紹介する。
富士急行に、なぜ乗客が集まるのか
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鉄道会社の終電繰り上げは「必然」、これだけの理由
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新型コロナの感染者が急増したことで、日本医師会が「我慢の3連休」を呼びかけたにもかかわらず、観光地や繁華街などでは多くの人が訪れていた。なぜ感染者が増えているのに、人は街中を歩くのか。その背景に……。
お客の「肘」を見ただけで、なぜ塚田農場の売上は伸びたのか
店内にカメラを設置して、その映像をじーっと見る。スタッフなどの動きを分析して、生産性向上を支援している会社がある。「トリノ・ガーデン」だ。具体的にどんなことをしているのか。同社の社長に話を聞いたところ……。
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新型コロナの感染拡大を受けて、鉄道会社が大ダメージを受けている。利用者数が激減したことで、売り上げが大きく落ち込んでいるわけだが、今後の都市鉄道はどうなっていくのだろうか。
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