2度目の「緊急事態宣言」を受け、赤羽一嘉国土交通大臣は1月7日、1都3県の事業者に対して、3月13日のダイヤ改正で行われる「終電繰り上げ」を前倒しにするよう要請した。それに対し、西武鉄道はダイヤ改正前の終電繰り上げを行う意向を示したほか、JR東日本は終電の繰り上げを前倒しを検討中だと報道されている。JR東日本の終電繰り上げは、周知期間を経て行われるという。
確かに、終電時間帯の利用者は減っている。JR東日本は2020年、終電時間帯の利用者の減少状況を示し、21年春のダイヤ改正での終電繰り上げに対し利用者への理解を求めた。この終電繰り上げの発表に、大きな反発はなかった。24時間稼働・交代制勤務の医療関係者などの反発はなく、飲食店関係者からも大きな反発はなかった。飲食店はすでに深夜帯の利用者が減少しており、深夜営業はコスト面で見合わない背景がある。
そんな状況の中で、鉄道の各事業者は終電繰り上げを前倒ししようとしているが、どんな形で前倒しをするかは不透明だ。ただ実際には、ダイヤ改正前の終電繰り上げは簡単ではない。鉄道には運行計画があり、車両の運用や乗務員のシフトなど、どこかを動かすと、別のどこかに必ず影響がある。つまり、緻密(ちみつ)な準備が必要な改定なのだ。
また、鉄道事業者間の乗り換えの便の問題もある。東京圏の鉄道は、普段は数分〜12分程度の間隔で運行しているところが多く、昼間なら乗り換えの問題はないが、深夜は列車の間隔が開くことに加え、終電だと乗り換える電車がない問題が発生する。近年では“連絡はしない”旨を駅に掲示している事業者もあるが、実際に乗り換えに失敗すれば、ターミナル駅から長距離をタクシーに乗らねばならないケースも発生する。
21年3月に予定していた「終電繰り上げ」の前倒しは、車両の運用や乗務員のシフトなど調整事項が多く、簡単にできることではない(写真提供:ゲッティイメージズ)
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