各業務分野における人員配置、現在の企業の業績および財務状況、また、今後の業績見通しなど、企業が置かれている現状を冷静に分析します。
これらにより、募集するべき退職者数や退職条件等を策定することができます。
例えば、業務自体は忙しいが利益が少ない(そもそも赤字)という状況では、希望退職を募集すること自体が矛盾しているとも言え、希望退職制度の成否に影響を与えてしまうでしょう。
(1)で分析した現状および今後の業績見通しを元に、以下のような希望退職の条件を具体的に策定し、募集要項に記載します。
事前に分析した結果、余剰人員の数を踏まえて募集人員数を決定します。
一定の年齢以上(中高年層)に限定したり、不採算事業に従事する従業員に限定することが一般的です。
いつまでに応募すればよいかを決めます。
希望者が多くなりすぎて事業運営に支障を来すことを避けるために、募集人数に達した場合については期間中であっても募集を打ち切ることがあることも募集要項に明記することが必要です。
対象者にとっては募集に応じるか否か、重大な決断となるでしょう。従って、募集人員数を確保するためにも退職予定日までに十分な期間をとることが求められます。
退職予定日は、募集の締切から少なくとも3カ月以上先に設定することが望ましいでしょう。
退職金支給率の割増、退職金額の上乗せなどを決定します。希望退職を募るにあたって、従業員の福利に資することは、同時に企業の負担増大につながります。財務状況等を考慮しながら、どの程度の優遇が可能か吟味を重ねることが重要です。
会社が必要とする人材の引き留めのためには必須になります。「会社は応募者の希望退職の申し出を承諾しないことができる。その場合、優遇措置は適用しない」旨の明記をしたほうがよいでしょう。
機密情報の漏えいや希望退職の実施後に懲戒事由が発覚した場合、退職金の特別加算部分を返還しなければならないことを記載することが一般的です。場合によっては、特別加算のみならず、通常の退職金にも影響が及ぶこともあります。
その他、再就職先のあっせん・特別有給休暇の付与等の方策を決めます。
希望退職の条件が固まったら、いよいよ募集です。企業に労働組合が組織されている場合は、事前に労働組合と協議して了承を取り付ける必要があります。
周知方法には(コロナ禍の現状では開催は困難ではありますが)説明会、社内イントラネットでの告示、社内メールによる通知等が考えられます。
この際、ただ周知させるだけでなく希望退職の募集について従業員とのトラブルを極力招かないようにするためにも、従業員から意見・質問等が寄せられた場合は誠実に対応するように心掛ける必要があります。
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