マツダはこのFRのラージプラットフォームの開発をやり直す決意をして、発表予定を1年遅らせた。こういう変化にコモンアーキテクチャーは弱い。同じOSを採用する全てのモデルが後倒しになってしまう。
ではその期間をどう戦うのか? マツダは第6世代に第7世代の一部構造を投入してレベルアップさせながらこの遅れ分をカバーしようとしている。最も難しいのはシャシーの環状構造の見直しだ。リアドアの後部からボディーエンドまでにかけての環状構造をつなげ、対角線上の剛性を向上させるのが第7世代最大の特徴である。
しかし、そこまでの大がかりなシャシーの改良は、凄まじい工数がかかる。という場面で最もキーとなるのが、17年に第6世代の最終モデルとして登場した、マツダ自身が6.5世代と呼ぶ2代目CX-5である。このクルマのレベルを今再検証すると、マツダの第6世代延命計画の勝算がある程度見えてくると筆者は踏んでいるわけだ。
実は筆者はちょっと今回の試乗会に行くのに気が重かった。第7世代に散々乗った今、6.5世代に乗って絶望的な古さを感じてしまったら、マツダの未来を明るく予測することが不可能になる。あくまでもフラットに書く姿勢を変えるつもりはないが、厳しい環境の中でマツダが果敢な取り組みを続ける様子を見守って来たひとりとして、個人としてはやはり辛いのだ。
肝心のCX-5はどうだったか。心配は杞憂(きゆう)に過ぎなかった。インテリアデザインはやはり少し古くなっているが、それ以外は、全く色あせていなかった。
改良のポイントはとてもマニアックだった。アクセルペダルのリターンスプリングを20%強くしたのだ。それは何を意味しているのか?
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マツダの藤原清志副社長のインタビュー、第2弾はラージプラットフォーム投入が遅れる理由だ。なぜマツダが直6エンジンを使った新らしいラージプラットフォームを開発するのかを振り返り、その遅れの理由、そして遅れたことで空く穴をどう塞ぐのかを解説する。
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マツダの戦略が分岐点にさしかかっている。第2四半期決算の厳しい数字。第7世代の話題の中心でもあるラージプラットフォームの延期。今マツダに何が起きていて、それをマツダがどう捉え、どう対応していくつもりなのか? その全てを知る藤原清志副社長がマツダの今を語る。そのインタビューを可能な限りノーカット、かつ連続でお届けしよう。
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マツダの電動化の嚆矢(こうし)となるMX-30をどう見るか? このクルマのキャラクターをつかもうと思うのであれば、変化球モデルだと思わない、スポーツ系モデルだと思わない、ついでにフリースタイルドアのことも電動化のことも全部忘れる。そうやって全部の先入観を排除して、普通のCセグのSUVだと思って乗ってみてほしい。その素直で真面目な出来にびっくりするだろう。
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そもそもMX-30に与えられた使命は、電動化の牽引役だ。年明けにはいよいよ国内でもEVが出る。これは以前プロトタイプに乗ったが、スーパーハンドリングマシーンと呼べる出来になるはずである。次の時代に向けた実験的取り組みは、全てこのMX-30がテストベッドになる。そのクルマの基礎素養がこれだけ好もしいものであったことで、期待は高まろうというものだ。
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