MX-30というクルマにどういう先入観を持っているだろうか? 「一風変わった変化球モデルね」。筆者はそう思っていた。例えばかつてのホンダCR-Xデルソル、あるいはトヨタ・セラ、日産ならNXクーペ。そういう保守本流車種のコンポーネンツを流用して作られる、ライフスタイル提案型のスペシャリティモデルを想像していた。
クリーンな面構成で衒(てら)いのないSUVに仕立てられたMX-30のスタイル
Mazda3とCX-30という与党の2大派閥に対して、あくまでも第三勢力という立ち位置の商品に見える。というか普通に考えればそうとしか思えない。実際マツダ自身の月販計画も1000台で、ロードスターの倍程度という地味なものである。
さらにいえば「MX」という名前の印象もある。誰もが思い浮かべるのはロードスターの欧州向け輸出名であるMX-5。もうちょっとマツダ好きな人ならMX-6。要するにスポーツ性を強調した2ドアモデルに与えられてきたシリーズ名なのだ。
MX-30の記事でドアの話が出てくれば、当然書かざるを得ないのはマツダがフリースタイルドアと呼ぶ、観音開きのドアである。いかにも実験的。普通じゃなく見える。
さらに戦略的な立ち位置で見ると、これはマツダの電動化モデルの一番槍(やり)でもある。今回デビューしたのはマツダがMハイリッドと呼ぶ、マイルドハイブリッドモデルだが、MX-30シリーズとしては、欧州ではすでに先行してバッテリーEV(BEV)モデルがデビューしており、国内でも年明けにBEV投入がアナウンスされている。2022年にはこれにロータリーエンジンのレンジエクステンダーモデルが追加されるという具合で、こっちでも観測気球的商品のニュアンスが濃厚なのだ。
マツダのEVは何が新しいのか?(前編)
東京モーターショーの見どころの1つは、マツダ初のEVであるMX-30だ。クルマの生産から廃棄までの全過程を通して見たときのCO2負荷を精査した結果、35.5kWhというどこよりも小さいバッテリーを搭載した。世の中の流れに逆らって、とことん真面目なEVを追求した結果出来上がったのがMX-30だ。
マツダのEVは何が新しいのか?(後編)
「MX-30は魂動デザインなのか?」。答えはYesだが、第7世代の陰影デザインは、MX-30には緊張感がありすぎる。そこでさらに「陰影」自体も取り去った。そこに残ったのは優しくて健全なある種の健康優良児のような姿だった。
EVにマツダが後発で打って出る勝算
マツダが打ち出したEVの考え方は、コンポーネンツを組み替えることによって、ひとつのシステムから、EV、PHV(プラグインハイブリッド)、レンジエクステンダーEV、シリーズ型ハイブリッドなどに発展できるものだ。そして試乗したプロトタイプは、「EVである」ことを特徴とするのではなく、マツダらしさを盛ったスーパーハンドリングEVだった。
ラージの遅れは「7世代の技術を現行世代に入れる。もうそれをするしかない」 藤原副社長インタビュー(3)
マツダの戦略が分岐点にさしかかっている。第2四半期決算の厳しい数字。第7世代の話題の中心でもあるラージプラットフォームの延期。今マツダに何が起きていて、それをマツダがどう捉え、どう対応していくつもりなのか? その全てを知る藤原清志副社長がマツダの今を語る。そのインタビューを可能な限りノーカット、かつ連続でお届けしよう。
マツダの新型アクセラ、失敗できない世界戦略
新型Mazda3(アクセラ)はいわゆるCセグメント。フォルクスワーゲン・ゴルフをベンチマークとする小型車で、トヨタ・プリウス、カローラなど世界最激戦区で戦うモデルだ。マツダにとって失敗が許されないモデルであり、成功すればマツダのイメージを大躍進させる重要な位置付だ。
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