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» 2019年10月29日 07時00分 公開

池田直渡「週刊モータージャーナル」:マツダのEVは何が新しいのか?(後編) (1/4)

「MX-30は魂動デザインなのか?」。答えはYesだが、第7世代の陰影デザインは、MX-30には緊張感がありすぎる。そこでさらに「陰影」自体も取り去った。そこに残ったのは優しくて健全なある種の健康優良児のような姿だった。

[池田直渡,ITmedia]

 さて、前編では、MX-30が優しいクルマに仕上がっていることを書いた。だとすればデザインはどうなるべきなのだろうか? それがこの後編のテーマなのだが、おそらくMX-30のデザインを見た読者諸兄は、同じシャシーを共有し、一番近しい関係にあるCX-30とだいぶテイストが違うことにすでに勘づいていることと思う。

 モーターショーの会場で、マツダデザインのボスである前田育男常務に率直に聞いた。「MX-30は魂動デザインなのか?」。前田氏の答えはYes。ただし形の目指すものは、第7世代の魂動デザインとは違うという。

MX-30のデザインを探る

陰影の緊張感

 第7世代の魂動デザインを極めて単純化すると、ドアの凹面に映り込む景色の変化をモチーフにした光の反射デザインであり、それは谷崎潤一郎がいうところの『陰翳礼讃(いんえいらいさん)』が指し示す、淡い光と漆黒が表す世界感である。

 しかしながら優しくたくましいMX-30の走りのキャラクターに対して、第7世代の陰影デザインは緊張感がありすぎると前田氏は言う。第7世代のデザインは引き算のデザインで、とにもかくにも余分な要素をそぎ落としてそぎ落として、陰影以外の要素をあらかた消し去ったところに立ち位置を見つけ出した。MX-30ではその陰影も引いてみようと考えた。陰影と共に緊張感を消した。そこに残ったのは優しくて健全なある種の健康優良児のような姿だった。

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