マツダの藤原清志副社長のインタビューに基づいた解説記事の第2弾は、ラージプラットフォームの話である(第一弾、「藤原副社長、マツダが売れなくなったって本当ですか?」はこちら)。
2年前の東京モーターショーで出品されていた『VISION COUPE』。単なるコンセプトモデルではなく、直6ラージプラットフォームを使った新型車として、市販化計画があることを突き止めた
現在マツダは第7世代商品群をスタートさせたばかり。すでにMAZDA3とCX-30がデビューしている。これはスモールプラットフォームと呼ばれるFF用シャシーであり、MAZDA2(旧デミオ)とMAZDA3を中核としたBセグメント、Cセグメント用のプラットフォームである。
この上に位置するCX-5とCX-8、中国向けのCX-4、北米向けのCX-9、そしてMAZDA6については、すべてラージプラットフォームと呼ばれる別のシャシーをデビューさせる予定だ。マツダは第6世代をスタートさせる時、コモンアーキテクチャー構想によって、全てのクルマを同じ考え方で設計し、同じラインで混流生産することを目指した。その改革を成功させることで、破綻寸前の経営から脱却した。
しかし、その成功によって、生産・販売台数が伸張した結果、全ての製品を同じラインで混流生産する意味が薄れ始めた。200万台に向けて考えれば、もう少しシャシーの役割を個別に変えたい。特に今マツダが力を入れている北米での商品力を考えると、FF+4気筒をベースに置いていたのでは、商品性が足りない。
日本人には想像し難いが、北米では4気筒は安物というイメージが強い。V8が好まれるお国柄を考慮すれば、多気筒化しないと、ハンデを負った状態で戦わなくてはならなくなる。
藤原副社長、マツダが売れなくなったって本当ですか?
ここ最近のマツダには、聞いてみたいことがたくさんある。あれだけ出来の良いクルマを作りながら販売台数がなんで落ちるのか? MAZDA3とCX-30を批判している人は、まず乗ってみたのか聞きたい。あれに乗って、それでも高すぎると本当に思うのだろうか?全てを知り、なおかつ一番本当のことをズバリしゃべってくれそうな藤原清志副社長がインタビューに応じてくれることになったのである。第7世代は売れてないのか? を解説しつつ、真実を見ていく。
自動車を売るビジネスの本質 マツダの戦略
原理原則に戻ると自動車ビジネスもシンプルだ。商品とサービスに魅力があれば、新車を正価、つまり値引きせずに売れるから中古車の相場が上がり、その結果下取り価格が高いので、買い替え時により高いクルマが売れる。これが理想的サイクルだ。それを実現した例として、マツダの取り組みを歴史をひもといてみよう。
マツダCX-30の発売と、SKYACTIV-X延期の真相
マツダ第7世代の2番バッター、CX-30が10月24日に国内発売となった。Mazda3のときもそうだが、このSKYACTIV-Xの遅れを、設計に問題があったとする記事をいくつか目にした。その真相を語ろう。そして、海外試乗時から大幅に改善されたCX-30について。
EVにマツダが後発で打って出る勝算
マツダが打ち出したEVの考え方は、コンポーネンツを組み替えることによって、ひとつのシステムから、EV、PHV(プラグインハイブリッド)、レンジエクステンダーEV、シリーズ型ハイブリッドなどに発展できるものだ。そして試乗したプロトタイプは、「EVである」ことを特徴とするのではなく、マツダらしさを盛ったスーパーハンドリングEVだった。
マツダのEVは何が新しいのか?(前編)
東京モーターショーの見どころの1つは、マツダ初のEVであるMX-30だ。クルマの生産から廃棄までの全過程を通して見たときのCO2負荷を精査した結果、35.5kWhというどこよりも小さいバッテリーを搭載した。世の中の流れに逆らって、とことん真面目なEVを追求した結果出来上がったのがMX-30だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.