ところが、その重要な第7世代の上半分を担うラージプラットフォームについて、マツダは第2四半期の決算で、リリースを1年後ろ倒しにして2021年に投入すると発表した。マツダの北米戦略にとっても、そして国内の第7世代ラインアップの完成という意味でも手痛い延期である。なんでそんなことが起きるのか、そしてどう対応するつもりなのか?
「今回遅れた一番の理由は、実はプラグインハイブリッド(PHV)です。欧州のCO2規制(CAFE規制)とか、米国の温室効果ガス規制(GHG規制)とかを考えると、PHVが必須になってくる可能性が高い。もともとラージプラットフォームにはやれることがたくさんあって、PHVも計画していたんですけど、MX-30(東京モーターショーで発表したマツダ初のEV)を開発したときに、電池ってこうなんだっていうのが分かったわけですよ(笑)。あ、電池ってこうやって使わなくちゃいけないんだと」
東京モーターショーで発表したマツダ初のEV、MX-30
「そうなると、PHVを入れる予定のプラットフォームを見直さないといかんなと。冷却も含め、ちゃんとプロテクトもしないとダメだということです。なおかつ時代の変化も、技術の進化もあるので、FR化でたくさんスペースを取った結果、少し楽になるところも見えてくる。電池の進化もありますから、そういうのを全部含めて、ここでもう一回プラットフォームを全部見直すために、1年間ほど遅らせると。ここは英断でしたけど、やっておかないと、あとで大変ですから」
つまり、EVの開発を実際にやってみたことで知見が広がり、そこで得た成果をフィードバックできることが分かったということだ。だがしかし、そのためには、今まで進めて来たものを一度ご破算にしなくてはならない。
「だから、ここはすごく議論しました。トップを含めてみんなで、やるかやらんか。遅らせるといったら相当に影響が出るので」
- 藤原副社長、マツダが売れなくなったって本当ですか?
ここ最近のマツダには、聞いてみたいことがたくさんある。あれだけ出来の良いクルマを作りながら販売台数がなんで落ちるのか? MAZDA3とCX-30を批判している人は、まず乗ってみたのか聞きたい。あれに乗って、それでも高すぎると本当に思うのだろうか?全てを知り、なおかつ一番本当のことをズバリしゃべってくれそうな藤原清志副社長がインタビューに応じてくれることになったのである。第7世代は売れてないのか? を解説しつつ、真実を見ていく。
- 自動車を売るビジネスの本質 マツダの戦略
原理原則に戻ると自動車ビジネスもシンプルだ。商品とサービスに魅力があれば、新車を正価、つまり値引きせずに売れるから中古車の相場が上がり、その結果下取り価格が高いので、買い替え時により高いクルマが売れる。これが理想的サイクルだ。それを実現した例として、マツダの取り組みを歴史をひもといてみよう。
- マツダCX-30の発売と、SKYACTIV-X延期の真相
マツダ第7世代の2番バッター、CX-30が10月24日に国内発売となった。Mazda3のときもそうだが、このSKYACTIV-Xの遅れを、設計に問題があったとする記事をいくつか目にした。その真相を語ろう。そして、海外試乗時から大幅に改善されたCX-30について。
- EVにマツダが後発で打って出る勝算
マツダが打ち出したEVの考え方は、コンポーネンツを組み替えることによって、ひとつのシステムから、EV、PHV(プラグインハイブリッド)、レンジエクステンダーEV、シリーズ型ハイブリッドなどに発展できるものだ。そして試乗したプロトタイプは、「EVである」ことを特徴とするのではなく、マツダらしさを盛ったスーパーハンドリングEVだった。
- マツダのEVは何が新しいのか?(前編)
東京モーターショーの見どころの1つは、マツダ初のEVであるMX-30だ。クルマの生産から廃棄までの全過程を通して見たときのCO2負荷を精査した結果、35.5kWhというどこよりも小さいバッテリーを搭載した。世の中の流れに逆らって、とことん真面目なEVを追求した結果出来上がったのがMX-30だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.