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» 2021年01月26日 07時00分 公開

特定の部署のみテレワーク許可、法的な問題はある? 弁護士が解説Q&Aと解説(1/2 ページ)

新型コロナウイルスの影響でテレワークを導入する企業が増えている。業務の都合上、テレワークができる部署とそうでない部署に分かれる場合、特定の部署のみテレワークを許可することに、法的な問題はないのか? 弁護士が解説する。

[BUSINESS LAWYERS]

本記事は、BUSINESS LAWYERS「テレワークの対象を特定の部署に限定することに法的な問題はあるか」(井山貴裕弁護士/2020年11月4日掲載)を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集の上、転載したものです。

Q 当社には、A部からD部まで4つの部署があります。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、テレワークの導入を検討していますが、B部、C部には接客、販売業務があり、顧客情報や企業秘密を扱うD部は社外に持ち出せない情報を扱うためテレワークを行うことが困難です。そこで、企画立案業務を行うA部のみにテレワークを導入する予定ですが、このように、部署ごとにテレワークの可否を決定することは、法的に問題はないでしょうか。

A 業務の内容、扱う情報の種類・媒体、情報管理の方法、情報漏えいのリスク、業務に使用する機材・ツール、取引先や顧客、他の従業員との関係性等を考慮して、特定の部署のみにテレワークを導入することが合理的といえれば、A部のみにテレワークを導入することは法的に問題がないと言えます。

photo 画像はイメージです(提供:ゲッティイメージズ)

解説

1.テレワークの導入手順について

 都市部においては、通勤時の公共交通機関は過密な状態にあり、従業員がこの過密状態にさらされ、新型コロナウイルスに感染するリスクが高まっています。また、厚生労働省より発表されている新型コロナウイルス感染症対策専門家会議「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(2020年5月4日)の中でも、「新しい生活様式」として、テレワークが推奨されています。これを受けて、これまでテレワークの準備を進めていなかった会社においても、急きょテレワークの導入を検討している事例が多いと思われます。

 さて、テレワークの導入を行うにあたっては、「(1)導入目的の明確化、(2)対象者の決定、(3)実施環境の整備、(4)従業員説明・周知」(足立昌聰編著、寺島有紀、世古修平、笹川豪介、関原秀行著「Q&Aでわかる テレワークの労務・法務・情報セキュリティ」(技術評論社、2020)の手順を踏むことが一般的とされています。

 これを踏まえ、テレワークを導入する部署を検討するにあたっては、(1)導入目的を踏まえつつ、(2)合理的な根拠に基づき、対象者を選定する必要があります。

2.具体的な検討

 設例において、テレワークを導入する目的は、新型コロナウイルスの感染症対策にあります。この導入目的からは、テレワークの対象とする部署(従業員)の範囲を特定することは困難と思われます。

 そこで、次に従業員の業務内容や業務を行うにあたり必要となる機材、ツールを準備することができるかという観点から、テレワークの導入対象とする部署(従業員)を選定することになります。

 会社の中には、テレワークに適している業務と適していない業務が存在します。例えば、IT機器やSNSを用いて、メールをベースとしたやりとりを行うことを主な業務としている部署は、必要な機材や設備を準備できれば、テレワークを行うことになじみやすい業務と言えます。他方で、会社に来社する来客者の対応を部署や接客を行う部署については、その業務の性質上、テレワークの導入することが困難といえます。従って、テレワークの対象部署を選定するにあたっては、その部署がテレワークに適する業務を行う部署であるか否かという観点からの検討が必要となります

 次に、業務の内容としては、テレワークに属している場合であっても会社の設備や業務で扱う情報、機材の観点からテレワークに適しない場合があります。例えば、社内の特殊な機材を用いて、業務を行う部署については、テレワークを導入することは難しいでしょう。また、テレワークを行うにあたり、業務上の資料やデータを社外に持ち出さなければならない場合、持ち出しの対象となる情報、資料についてセキュリティの観点から、持ち出しを認めることができないとなると、その資料を用いて業務を行う部署にテレワークを導入することはできないといえます。このように、業務内容として、テレワークに適している場合であっても、設備と情報セキュリティの観点から、特定の部署がテレワークに適しないため、テレワークの導入対象から外すということには、合理的根拠があると言えます。

 テレワークの導入にあたっては以上のような点を踏まえつつ、テレワークの対象となる部署を選定する合理的な根拠があるか否かを検討することとなります。

3.設例の場合

 設例の場合について言えば、B部とC部については、来客対応や接客を要する業務を行う部署であるため、その業務の内容からテレワークには適さないといえます。また、社外に持ち出せない情報を扱うD部については、業務内容として、テレワークに適していたとしても、業務を行うために必要な資料を持ち出すことができないため、テレワークに適しているとは言えません。従って、設例のような事例で、テレワークを導入する部署を企画立案業務を行うA部のみに限定することには合理的根拠があるといえることから、法的には問題はありません

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