では、こうしたSDGsになぜ企業が取り組まなければならないのだろうか。経営学の大家ピーター・ドラッカーは、「企業にとっての利益の追求が、自動的に社会的責任遂行を意味しなければならない。企業を基盤とする社会は、個々の企業自らの社会的意識に関わらず、社会の目的と安定に貢献する事によってのみ機能する」と述べている。
つまり、従来のCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)のように追加的に取り組むのではなく、利益の追求(本業)が社会に対する善の遂行でなければならないということである。SDGsが目指すのは社会全体の目的であり、全ての企業がビジネスを通じてSDGsに取り組む大義があるといえるだろう。
しかし、「ビジネスにどう実装すればよいのか分からない」「壮大すぎて自社には関係ない」と思われる方もいるだろう。筆者は、ヒト・モノ・カネのフレームワークで考えた場合にも、企業が戦略的にSDGsに取り組む意義があると考えている。すなわち、企業がSDGsに取り組むことで、企業の持続的成長を促し、かつ投資を呼び込みやすくなり、優秀な人材の獲得や従業員のエンゲージメント向上にもつながるからだ。
本田龍輔
グロービス・コーポレート・エデュケーション シニアコンサルタント/SDGパートナーズ コンサルタント。日本福祉大学大学院国際社会開発研究科卒業(開発学修士)。大学卒業後、地域活性に取り組むNPO法人での活動を経て、独立行政法人国際協力機構(JICA)の実施する青年海外協力隊事業に参画し、パプアニューギニア独立国へ派遣。農村地域において生活改善や植林を中心とした環境保全活動に取り組む。帰国後はJICA東京にて、行政や教育機関、NPO/NGOとの協働を通じた国際協力の裾野拡大や人材育成に携わる。グロービス入社後は、法人営業部門にて、顧客企業の人材育成・組織開発に関わる設計・提案活動に従事。SDGパートナーズでは、企業のサステナビリティ方針策定・実施、ESG情報開示、価値創造モデルの設計プロセス等を支援している。写真はグロービス経営大学院提供
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