さて、もう一つの曲がり角産業は、「自動車産業」です。
ガソリン車によるモータリゼーションの勃興から約1世紀、コンビニの2倍というその歴史の長さからもビジネスモデルの老朽化は想像に難くない自動車業界ではありましたが、年明け早々世間を騒がせた報道によって恐れていた事態が一気に現実味を帯びてきました。
それは、アップルが電気自動車(以下EV)生産で自動車産業に参入し、韓国の現代自動車が具体的な提携交渉に入っていることを認めたという報道です。「アップルカー」の登場には、近い将来業界に大変革が巻き起きる可能性を感じさせられます。
アップルがEV生産を通じて自動車産業に参入しようとしているのは、明確な勝算があるからに相違ありません。EVは、単純に自動車の動力がガソリンから電気に代わるだけの進化ではありません。
自動車に関するあらゆるものがプログラム化され、例えば自動運転や走行安全性の確保に始まり、瞬時に適切かつ有益な運転情報をドライバーへ提供することやWeb回線や通信回線を使った外部との連携など、「車のスマホ化」といわれる進化はこの先ものすごいスピードで進むことが予想されています。
自動車に求められる価値がハードウェア的なものからソフトウェア的なものへと大きく移行する流れの中で、アップルはスマホ開発で蓄積したノウハウと製品利用者から収集した「生きた情報」を駆使して、満を持して「車のスマホ化」の主役に名乗りを上げたわけなのです。
自動車業界にとって特に脅威となり得るのは、アップルのビジネスモデルです。
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