横浜市の「EVバス」実証実験が、路線バスの将来像に大きな影響を与えそうな理由FCバスも(4/4 ページ)

» 2021年02月05日 05時00分 公開
[岸田法眼ITmedia]
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カーボンニュートラル、脱炭素社会に向けて

 菅義偉総理大臣は就任後の所信表明演説で、「温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」(出典:首相官邸公式Webサイト)ことを宣言している。

 しかし、日本は後れをとっている状況で、すでにイギリスでは2035年まで、ヨーロッパでは2040年まで、ガソリン車やディーゼル車の販売禁止を目標に掲げている。

 菅総理大臣の所信表明通り、2050年を目途にカーボンニュートラル、脱炭素社会を実現させる場合、大都市のEVバス化は遅くとも2040年まで完了すべきと考える。横浜など大都市路線バスの車両寿命は、約10年を目安としているからだ。

地方のバスは、中古車に頼るのが現状。

 役目を終えた車両の一部は、地方のバス事業者が戦力として購入し、小規模な改造ののち、営業運転に就いている。以前、北海道の稚内で元東急バスのオールロングシートの3ドア車(車体の塗装、座席のシートモケットも変わらず)、根室で元市営バス(車体の塗装は変わっていたが、シートモケットは横浜市交通局時代のまま)の車両に乗車したことがある。

 地方バスのEV化を完了させるには、遅くとも2050年までが期限となる。今後、中古のディーゼルバス購入時に、国や自治体のバックアップなどでEV化改造、充電施設の整備を進めるなど、ピッチを上げることも検討しなければならないだろう。

著者プロフィール

岸田法眼

『Yahoo! セカンドライフ』(ヤフー刊)の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降、フリーのレイルウェイ・ライターとして、『鉄道まるわかり』シリーズ(天夢人刊)、『bizSPA! フレッシュ』(扶桑社刊)、『AERA dot.』(朝日新聞出版刊)などに執筆。著書に『波瀾万丈の車両』『東武鉄道大追跡』(アルファベータブックス刊)がある。


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