放送倫理・番組向上機構(BPO)は2月10日、架空のデータが含まれた世論調査を放送したフジテレビのニュース番組について「重大な放送倫理違反があった」という判断を発表した。「市民の信頼を大きく裏切り、他の報道機関による世論調査の信頼性に影響を及ぼしたことも否めない」としている。
調査に基づくBPOの考察では、世論調査を毎月行うものとして「ルーティン化」していたことや、社内の担当者が1人のみで委託先へ「丸投げ」していた体制が今回の事態を招いたとしている。
世論調査はFNN(フジニュースネットワーク)と産経新聞が共同で行ったもので、2019年5月から20年5月までの14回の調査に、架空のデータが入力されていた。架空のデータは回答全体の12.9%だった。フジテレビは、20年6月1日までに18のニュース番組で架空のデータが含まれた世論調査を報じた。
不正なデータ入力を行ったのは、フジテレビの委託先であるアダムスコミュニケーション(東京都品川区)が再委託を行った日本テレネット(京都府京都市)だ。フジテレビは業務委託契約書で、再委託を行う場合は書面でフジテレビの承諾を得なければいけないと定めていた。しかしアダムスコミュニケーションから日本テレネットへの再委託は、フジテレビの承諾はなく、事実も伝えられていなかったという。
フジテレビと産経新聞は不正行為の発覚を受けて世論調査を中止していたが、21年1月15日に再開を発表した。今後は調査の再委託を禁じ、両社の担当者が調査に立ち会うなどの再発防止策を行う。
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