トヨタがトヨペット/トヨタ/ネッツ/カローラの4チャンネルによる販売体制を見直し、販売車種を統一したのは、2020年5月のことだ。これまで兄弟車などを設定して、各チャンネル毎の専売制を採ってきたトヨタ販売店だが、その不文律が破られたのは、3代目のプリウスが発売された時のことだった。
エコカー減税の導入によって、これまで以上の販売台数が見込まれることもあって、トヨタはハイブリッド車普及に弾みをつけるため、賭けに出たのだ。もっとも3代目プリウスは例外であり、専売制は基本的には踏襲されてきた。
それから9年。18年にトヨタは全国の6000拠点もの販売網に大ナタを振るう決断を下した。前述の通り、全チャンネルですべての車種を併売することを決めたのだ。都内の直営販売会社4社も合併され、新会社トヨタ モビリティ東京として新たなスタートを切っている。
それでも、現時点では街道沿いの自動車ディーラーが集中するようなエリアでは、数100メートルの距離でトヨペット店とトヨタ店が連立している。今後はさらに店舗の統廃合が進むだろうが、一方でトヨタ傘下のスバルやダイハツ、さらにはマツダやスズキといった資本提携のあるブランドまで統合した一大拠点が誕生する可能性もありそうだ。
街道筋にあって昨年暮れに閉店した日産ディーラーの向かいには、別資本の日産ディーラーがある。日産自動車のディーラーは、かつて街にあふれていた。日産店、プリンス店だけでなく、チェリー店、サニー店、パルサー店の5チャンネルで展開していたものを、レッドステージ/ブルーステージの2チャンネルに統合、2007年にはそれすら廃止して1チャンネルとしたのは、それだけ店舗の統廃合が必要だったのだ
日本は成熟社会であり、少子高齢化が進んでいる現在、自動車市場は縮小傾向にあるのは否めない。これまでの拡大戦略からの転換を図るのは当然のことだが、それだけでは販社は存続できない。人材不足、販売台数減というだけが問題ではない。従来のディーラーでの業務が続々と消滅する可能性があるからだ。
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