毎月30%増! オンライン版の音楽教室が、まだまだ伸びそうな理由水曜インタビュー劇場(メロディ公演)(3/6 ページ)

» 2021年03月17日 08時10分 公開
[土肥義則ITmedia]

「非同期」に着目

宍戸: 既存の音楽教室の多くは、大手のFC(フランチャイズチェーン)として、楽器店や個人が教えているんですよね。受講するには「楽器を購入しなければいけない」といったところもあって、金銭的なハードルが高い。また、音楽大学を卒業していない講師もいて、本格的に学びたい人には物足りなさがあるのではないか。こうした背景があるので、生徒は、親が習い事として通わせたい子どもと、時間と懐具合に余裕があるシニア世代が中心になっているんですよね。

 先ほども申し上げたように、20〜50代の働く人たちのニーズをどのようにしてくみとればいいのか。「非同期」でなければいけない、と考えました。

土肥: 非同期? どういう意味でしょうか?

宍戸: 本格的に学びたい人には、どうすればいいのか。やはり、一流の講師でなければいけません。また、有名なアーティストに学びたいというニーズもある。しかし、リアル店舗の形だと、参加できる講師は限られてしまうんですよね。第一線で活躍されている人たちは、とにかく忙しい。時間はなかなかとれないのに、決められた場所で教えなければいけない。となると、その講師は教室の近くに住んでいなければいけませんし、少人数に教えることになるので料金も高くなる。

 では、Zoomなどを使って、音楽教室を開くのはどうか。場所の制約はないので、リアル店舗のように近くに住んでいなくても、講師は参加できる。しかし、忙しい合間を縫って参加しなければいけませんし、料金の問題も解決することができません。こうした課題を解決するには、どうすればいいのか。講師が教える姿を撮影して、生徒がそれを見るという「ストリーミング」の形にすれば、課題を解決することができるのではないかと考えました。

電子楽器の貸し出しサービスも行っている

 ちょっと話は変わりますが、1対1の場合、生徒さんはさまざまなストレスを感じるんですよね。例えば、明日の午後7時スタートであれば、それまでに練習しなければいけません。「スキマ時間にちょっと練習」といったことが難しくなる。また「この講師はちょっと苦手だなあ」と思っても、チェンジすることが難しい。リアル店舗の場合、教室でその講師と出会うかもしれない。気まずい雰囲気になるのが嫌で、我慢して習い続ける生徒もいる。こうした課題も、ストリーミング形式での音楽教室であれば解決するのではないかと思って、ビジネスをスタートさせました。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.