宍戸: リアル店舗の場合、部屋の扉を閉めると、その中でどんなやりとりをしているのかよく分かりません。「ピアノを教えていて、生徒さんのレベルはこれくらいで」といったことは把握できますが、講師がどんな教え方をして、生徒はどこまで習得しているのか、第三者はよく分からないんですよね。
しかし、オンライン教室の場合、演奏した曲(宿題)をアップロードしてもらう。その曲を聞いて、生徒さんはどこでつまづいているのかを把握できるんですよね。このような貴重なデータを毎日取得して、それを基にテキストを改善する。そうすれば生徒さんの満足度を高めることができ、離脱率低下に結びつくのではないかと考えています。
土肥: 冒頭、リアル店舗の生徒は子どもまたはシニア層が多と言っていましたが、フォニムの生徒は?
宍戸: 18〜29歳が13%、30〜39歳が27%、40〜49歳が36%、50〜59歳が18%――。
土肥: 子どもとシニア以外の層を獲得できていますので、狙い通りといった感じですね。話は変わりますが、フォニムの生徒数が増えているとなれば、「ウチも同じようなことをやってみよう」といった感じて競合が出てきそうですが、その点についてはどのように考えていますか?
宍戸: すぐに追いつくことは難しいかなあと思っています。なぜか。先ほどから申し上げているように、改善を続けている「テキスト」の存在が大きいのではないでしょうか。データを取得すればするほど、テキストの完成度は高くなる。どんどん精度を高めていって、その生徒さんが習得したいと思っていることを最短に達成できるようにしていかなければいけません。そのためにも、データをどんどん習得して、テキストを改善していく予定です。
そして、生徒数が増えれば増えるほど、いい循環に入ると思うんですよね。例えば、講師がコンサートを開いたときに、そこで「オンラインで先生の授業を受けて、楽器をうまく弾けるようになりました」といった声を聞く。そうした人がどんどん増えていけば、有名アーティストの中に「フォニムと一緒にやりたい」という人が出てくるかもしれません。
当社のビジネスモデルは変動費(売り上げに比例して増減する経費のこと)がかからないので、生徒さんが増えれば増えるほど、講師の方へのお支払いもプラスαできる。また、技術投資もできるサイクルに入るので、結果的に顧客満足度を高めることができるのではないかと考えています。
土肥: そんなこんなで独奏……いや、独走していくわけですね。
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