クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

バッテリーEV以外の選択肢池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/6 ページ)

» 2021年03月22日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

再エネと電力の「しわ取り」

 バッテリーEV(BEV)やプラグインハイブリッド(PHV)などの「リチャージ系」は、自宅に充電設備がないともの凄く使いにくい。だから内燃機関はしぶとく残るし、ハイブリッド(HV)も然りだ。ただし、大きなトレンドとして、カーボンニュートラルにも目を配る必要はもちろんある。だから、それらを補う別のエネルギーを開発しようという機運はずっと前から盛り上がっている。

 ひとつは水素である。水素を否定するEV唯一主義者の反論は主に2つあって、主に「褐炭から作る水素はカーボンフリーではない」「700気圧に加圧するエネルギーがあまりにも無駄」という2点である。

 それらは一応の理があるが、その伝でいけば、「石炭火力発電のインフラで充電したEVはカーボンフリーじゃない」ことになる。「石炭火力は過渡的な状態であって、やがて再生可能エネルギーに変わっていけば問題は解決する」と彼らは答えるのだが、それは水素も全く同じで、やがて再生可能エネルギーによる余剰電力で水を電気分解して水素を製造することになればそれらの問題は解決する。

 「電気は電気のまま使えばいいじゃないか?」という疑問もあるだろうが、残念ながら、寝貯め、食い貯めはできないのと同じで、電気は原則的には貯められない。そこを貯められるようにするのが充電池と水素なのだ。

 資源エネルギー庁が昨年9月に発表した資料によれば、日本の再生可能エネルギーの構成比率実態は、水力発電はすでに横ばいから微減。2011年と18年の比較で、太陽光は15倍、風力は1.8倍、バイオマスは1.5倍、地熱は1.0倍となっている。つまり、ここしばらく伸びて来たのは主に太陽光、少し離れて風力とバイオマスであり、地熱発電はずっと低空飛行で、伸びていない。技術にはブレークスルーの可能性があるから未来において画期的な技術が開発される可能性は否定できないが、少なくとも今の実績をベースにみればそれが現実である。

日本の発電電力量構成の変化(資源エネルギー庁)

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