だいぶ以前からそうではないかとは思っていたが、トヨタの辞書に「選択と集中」という言葉はやっぱりないらしい。コロナ騒ぎに気を取られている間に、無視できないリリースがどんどん出されていた。内容を見ると、中国の電気自動車メーカーBYDと提携して中国向けのEV開発を進める発表をしたかと思えば、パナソニックと車載用角形電池事業の新会社設立を発表している。
すわトヨタはEVに全面的に注力するのかと思えば、自動運転でも相次いで新たなリリースを連発する。トヨタの自動運転ソフトウェア先行開発部門であるTRI-ADとダイナミックマップ基盤(DMP)が自動運転用の高精度マップの実証実験を発表。返す刀で、サイバーセキュリティ研究チームであるTencent Keen Security Lab(Keen Lab)から指摘されたコネクティッドカーの脆弱(ぜいじゃく)性への取り組みを発表した。
未来的な話ばかりかと思えば、突如、塗着効率で世界一を実現などという、超現実的なレベルでのコストダウン手法を発表してみせたり、中古車の販売システムの大幅変更を発表したりと、まさにあらゆる方面に対して矢継ぎ早である。
週刊ペースではとても消化しきれないほどの勢いで発表が続く。頑張って書いたとしても日刊トヨタジャーナルになってしまいそうだ。という中で、今回はトヨタが3連発で発表した水素関連の取り組みをまとめて書こうと思う。
世界で初めての自立エネルギー型燃料電池船「エナジー・オブザーバー号」
水素に未来はあるのか?
「内燃機関が完全に滅んで、100%全てのクルマがEVになる」という世界は、未来永劫来ないだろう。そのエネルギーミックスの中にまさに水素もあるわけだが、FCVにはいろいろと欠点がある。しかし脱化石燃料を目標として、ポスト内燃機関を考え、その候補のひとつがFCVであるとするならば、化石燃料の使用を減らすために「化石燃料由来の水素」に代替することには意味がない。だから水素の製造方法は変わらなくてはならない。また、700気圧という取り扱いが危険な貯蔵方法も変化が必要だ。
EVへの誤解が拡散するのはなぜか?
EVがHVを抜き、HVを得意とする日本の自動車メーカーは後れを取る、という論調のニュースをよく見かけるようになった。ちょっと待ってほしい。価格が高いEVはそう簡単に大量に売れるものではないし、環境規制対応をEVだけでまかなうのも不可能だ。「守旧派のHVと革新派のEV」という単純な構図で見るのは、そろそろ止めたほうがいい。
トヨタ ハイブリッド特許公開の真実
トヨタは、得意とするハイブリッド(HV)技術の特許(2万3740件)を無償で提供する。しかし、なぜ大事な特許を無償公開するのか? トヨタの狙いと、そしてどうしてトヨタが変わらなければいけなかったかと解説する。
燃料電池は終わったのか?
2014年末にトヨタが世に送り出したMIRAIだが、最近話題に上ることは少なくなった。「燃料電池は終わった」とか「トヨタは選択を間違った」としたり顔で言う人が増えつつある。実のところはどうなのだろうか。
トヨタがこだわる燃料電池車の未来 増産へコスト削減
トヨタ自動車が2020年代の燃料電池車(FCV)量産に向けて投資を拡大している。
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