さてその水素の製造はどの程度進んでいるのだろうか? 日本で水素といえば岩谷産業とトヨタだろう。あるいはこれに東芝を加えるべきかもしれない。それ以外にも多数の会社が、水素の製造、輸送、利用の各段階で実証実験を行っている(記事参照)。
すでに過去に何度か書いている通り、横浜・川崎地区では、風力発電の電力によって水を電気分解して水素を作るハマウイングが稼働中で、ここで作られた水素は京浜地区のいくつかの工場でFC(燃料電池)フォークリフトの燃料として使われている。
さらに福島県浪江町には、20年3月、世界最大級の水素製造拠点がオープンした。事業主体は経産省傘下の国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)となる。「福島水素エネルギー研究フィールド(通称:FH2R)」と名付けられたこの大規模な太陽光発電システムの能力は最大で20MW、これに10MWの水素製造装置を組み合わせたものだ。つまりピーク発電量の半分を、水素に変換して貯蔵できる。先に述べた「しわ取り」を蓄電池なしで実現したシステムである。
ロゴの入った建屋は、水素製造の心臓部にあたるプラント。製造された水素は右奥の細長いタンクに蓄えられる
まずは再エネによる水素製造を実現する段階はクリアしたといえる。次に目指すのは、水素の利用方法のバリエーションだ。もちろん水素で発電し、インフラ電力の不足時に支えることはもちろんだが、それ以外に多様な水素の利用法を模索するステージが始まっている。
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